弁護士ブログ

東京オリンピック ~治安と外国人犯罪の処罰(前編)~

-力丸ブログ , ■弁護士ブログ , 刑事

2017.02.14

 

2020年,東京オリンピック,楽しみですね。
ただ一方では,治安上の懸念の声もあります。
漠然とした不安や疑問のある方のために,参考知識として,以下のテーマでお話しさせていただこうと思います。

刑罰(前編)と被害弁償(後編)の2回に分けてお話しします。

 

■「外国人による犯罪が起こった場合には,法律上どのようになるの?」
■【オリンピック期間中,来日した外国人が,地元住民に対する強盗殺人事件を起こした】というケースで考えてみましょう。

 

1 犯罪(刑罰)について

(1)被疑者が国内で捕まった場合

どのような犯罪者を日本の法律で裁くことができるのかは,刑法に定められています。

国外犯の場合には,どのような国籍保有者のどのような内容の犯罪か,によって結論が異なります。
そして,国内犯の場合には,刑法の第1条に次のような定めがあります。

※刑法 第1条1項「この法律は、日本国内において罪を犯したすべての者に適用する。」

上記強盗殺人ケースは国内犯ですので,犯罪者は,日本の裁判所で,日本の刑法によって裁かれ,「死刑又は無期懲役」(刑法第240条)の刑罰を受けます。

 

(2)被疑者が国内で捕まえる前に国外に逃亡した場合

国外逃亡犯の場合,日本と逃亡国との間の国際問題が生じます。

関連法として,「犯罪人引渡し条約」という条約があります(条約締結国同士の犯罪者の引渡しの要件や方法などを定める2カ国間条約です)。

2017年現在,日本の条約締結国はアメリカと韓国の2か国のみであり,世界的に見て少ない現状です(アメリカやイギリスは概ね百カ国,欧州各国,中国,韓国なども数十カ国と条約を締結しています)。
入出国管理の厳重な島国日本では国外逃亡犯の処遇が問題となることが比較的少ないこと,死刑法定国の日本は死刑廃止国から犯罪者の引渡しを敬遠されていること,などが日本の条約締結国の少ない理由と言われています。

さて,以上の現状を踏まえ,犯罪者はどういう処遇となるのか。

・上記強盗殺人被疑者が国外逃亡したとすると,日本は,条約締結国以外の国には,その身柄の引渡しを,条約に基づいては要求できないことになります。
・もっとも,条約がないからといって,必ずしも被疑者が引き渡されないわけではなく,その時に政府間で交渉するかどうか,交渉が成功するかどうか等によることになります。
・また,被疑者が国外に逃亡しても「無罪放免」というわけでなく,その逃亡国の法律に従って裁かれることになります(日本からも代理処罰の要請が可能で,実際にも多い)。ただし,裁きの有無,裁くとしてどのように裁かれるのか,最終的判断は,その国任せとなります。

東京オリンピックが近づくにつれ,国際情勢との摩擦を予防すべく,死刑問題等についてもグローバルスタンダードに傾倒すべきとの意見が強まっていくと予想されます。

 

2 民事問題(被害弁償・損害賠償)について(後編)

犯罪者が国外に逃亡していたとして,上記犯罪被害者の遺族は,犯罪者への刑罰とは別に,次のような疑問に至るでしょう。

・国外に逃亡した犯罪者に対し,慰謝料等の然るべき賠償を求めたい!
・でも,日本の裁判所で,日本の法律に従って判決を下してもらうことができるのか?
・外国の裁判所の通貨を基準に,低廉な賠償金を命じられても,話にならない!

当該疑問に関しては,次回のブログ(後編)で,お話しします。→【東京オリンピック~治安と外国人犯罪の処罰(後編)~】

 

弁護士 力丸

問題解決に向けて、全力を尽くします。まずはお気軽にお悩みをお聞かせください。

  • 092-409-0775

    0952-41-9210

    0954-20-1455

  • メールでのご相談はこちら