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取締役の損害賠償責任について

【 Q 】

取締役の経営判断が結果として会社に損害を生じさせた場合においても、取締役は会社に対して損害賠償責任を負うのでしょうか。

 

【 A 】

会社法423条は、「取締役・・・は、その任務を怠ったときは、株式会社に対し、これによって生じた損害を賠償する責任を負う。」と規定しています。

したがって、取締役の行為によって、会社に損害が発生した場合には、当該取締役は、会社に対し、損害賠償責任を負う可能性があります。

もっとも、取締役の経営判断によって会社に損害が生じた場合に、取締役が会社に対して損害賠償責任を常に負うとすることは、取締役の経営に関する裁量を制限することになり、会社の利益にならないと考えられます。

このような原則を「経営判断原則」と言います。

「取締役は、企業経営(業務執行)に係る決定をするに当たり会社を取り巻く社会・経済環境に関する将来の変化を正確に予測することはできない。また、企業経営には冒険とそれに伴う危険が付きまとうものであり、取締役が委縮することなく業務を執行するためには取締役の職務執行に際して広範な裁量の余地が認められなければならない」
(引用:神崎克郎「経営判断の原則」森本滋ほか編・企業の健全性確保と取締役の責任〔有斐閣、1997〕194頁)

 

経営判断原則に関する裁判例

判例上も、経営判断原則は採用されています。

例えば、東京地判平成16年9月28日(判時1886号111頁)は、次のように判示しています。

「取締役の業務についての善管注意義務違反・・・の有無の判断にあたっては、取締役によって当該行為がなされた当時における会社の状況及び会社を取り巻く社会、経済、文化等の情勢の下において、当該会社の属する業界における通常の経営者の有すべき知見及び経験を基準として、前提としての事実の認識に不注意な誤りがなかったか否か及びその事実に基づく行為の選択決定に不合理がなかったか否かという観点から、当該行為をすることが著しく不合理と評価されるか否かによるべきである」。

経営判断原則は上記判例にも現れているように、

・ 情報の収集、分析、検討が合理的であったか
・ その事実認識を前提にして行った判断が明らかに不合理、著しく不当でなければ

取締役の判断は「任務を怠ったとき」にあたらず、取締役は損害賠償責任を負わないことになります。

 

さいごに

経営判断原則を前提にしても、「任務を怠ったとき」に該当するかどうかは、専門的な判断を要しますので、お困りの際には、当事務所までご相談ください。

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