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家族信託の勧め②ー家族信託の典型活用事例

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2017.05.29

桑原です。
今回は,家族信託の設定が役に立つ,典型事例をいくつかご紹介しましょう

 

1 自らの財産について,自分が生きている間は自分が,亡くなった後は後妻が利益を受け,後妻も亡くなった後は前妻との間の長男に,自己の財産を引き継がせたいという事案。

当初受益者を自分,第2次受益者を後妻として,長男を受託者兼残余財産帰属者として,自分及び後妻の老後扶養を信託目的として,家族信託を設定するのです。

死亡の先後関係や,自分や後妻の認知症にも影響を受けませんので,各種リスクを避けられます。
長男が信頼できる事案であれば,自分と後妻の老後のために,家族信託の設定は有効です。

 

2 自らが住んでいる自宅について,当面自宅で暮らしたいが,自分が施設入所した後に売却したい事案。

当初受益者を自分とし(配偶者がいれば第2次受益者を配偶者とし),子供を受託者兼残余財産帰属者として,たとえば自分が施設に入所した後に不動産を売却することを信託目的として,家族信託を設定するのです。

自らが認知症になってしまうと,法律上自己の財産であっても当該財産を売却することはできません。成年後見人等を選任した上で売却を目指すという選択肢もありますが,今の家庭裁判所の実務を前提としますと,金融資産が枯渇するおそれなどがない限り,成年後見人が売却に同意しない可能性も高いのです。

上記家族信託を設定することで,受託者である子供は,親が施設に入所した後,売却したいときに(高値で売れそうなときに),子供のタイミングで売却できます(成年後見人の選任申立てをすることも,成年後見人の同意を得る必要もありません)。

 

3 自らの財産について,知的障害のある子どもの生きている間は当該子どものために活用し,その子どもが亡くなった後は,跡継ぎ予定者(たとえば甥っ子)に引き継がせたいという事案。

当初受益者を自らとし,死亡後は知的障害のある子どもを第2次受益者とし,当初受託者を自分と甥っことし,残余財産帰属者を甥っ子として,知的障害のある子の扶養・生活の安定を信託目的として,家族信託を設定します。

当初受益者を子どもと設定する場合,多額の贈与税がかかるおそれがあるため,当初受益者は自分と設定するのが無難です。他方,当初委託者自身が受益者となっても,知的障害のある子どもの扶養義務があるので,当初から子どもは信託財産による恩恵を受けることが可能です。また,受益者と受託者とが同じ信託は法律上の制限があるため,受託者を当初から自分と甥っ子として設定する訳です。

これにより,自分や知的障害のある子どもが生きている間は,子供のために資産が有効活用されるとともに,両名の死亡後はきちんと残余財産が跡継ぎ予定者(甥っこ)に承継されていくことになります。

 

4 会社経営者が,金融機関の保証人となっている場合に,自己の財産の一定額は,死亡後,相続人予定者に確保しておきたい事案。

当初受益者を自分とし,第2次受益者を配偶者,第3次受益者を長男・・・とし,長男を受託者兼残余財産帰属者として,自分及び妻の老後扶養を信託目的として,家族信託を設定します。

家族信託の設定により,信託された財産の所有権は受託者たる長男に移りますので,仮にその数年後に会社が倒産し,代表者であった自分が保証かぶりをしたとしても,既に信託設定された財産は金融機関にとられることはなく,配偶者等受益者のために活用し続けることができます。

ただし,信託設定時に,会社経営が危ない状態であれば,当該信託設定は詐害信託として取消しの対象となりますので,注意が必要です。
また,受益者が自分である間は,当該受益権自体は金融機関による差押えの対象となりますので,その点もきちんと認識しておくことが必要です。

 

どのような事案においても,家族信託がそもそも妥当なのかそれ以外の方法の方が有効性が高いのではないか,という点への考察が必要です。

また,家族信託が妥当だとしても,にわか勉強での家族信託の設定は,各種リスクへの配慮が足りず,せっかく信託を組んだのにこんなはずではなかった・・・・というようなトラブル事例も増え始めているようです。

きちんと家族信託について専門的に学んだ専門家に,相談しながら設定すべきでしょう。

問題解決に向けて、全力を尽くします。まずはお気軽にお悩みをお聞かせください。

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