よくある質問

【被害者参加】Q:弁護士による被害者支援活動について教えて下さい。

平成22年10月
    佐賀県弁護士会 犯罪被害者支援委員会
            委員長  弁護士   桑 原 貴 洋

一 佐賀県弁護士会における被害者支援の取り組み

1 犯罪被害者支援委員会
① 平成12年5月、西鉄バスジャック事件が発生し、犯罪被害者支援プロジェクトチームで対応チームを結成して、無料相談会や、肥前精神医療センター医師による説明会を開催
② 平成12年8月、佐賀県弁護士会総会にて、犯罪被害者支援委員会が発足・・・殺人・傷害・強姦といったいわゆる犯罪被害のみではなく、DVやストーカー行為なども所管することとなる
③ その後、各種講演活動、VS協議会への参加、被害者支援相談会、女性の権利110番、シンポジウムの主催、全国被害者支援弁護士経験交流会、VOISSとの意見交換会等の実施等を毎年実施
④ 個人的には、平成12年~は事務局(そのうち副委員長兼務)、平成17年~は委員長(現在に至る)
⑤ 平成20年12月、国選被害者参加弁護士制度の開始に当たって、研修の実施や登録弁護士名簿の調整

2 両性の平等に関する委員会
平成21年夏に、DV・ストーカー・セクハラ問題等を所管する両性の平等に関する委員会が、別途発足

二 被害者支援とは

1 被害者自身の立ち直りをサポートする形の支援でなければならない。
被害者のニーズは何なのか、的確に把握することが必要。
時期によって、被害者のニーズは刻々と変化していくものである

2 対加害者との関係
犯人を捕まえて欲しい、事件として立件して欲しい
 →告訴・告発、検察審査会
事件の内容を知りたい、裁判に積極的に関与したい、加害者に言いたい
 →記録の閲覧・謄写、法廷傍聴・付添、被害者参加、意見陳述
犯人を懲らしめたい、償わせたい、賠償させたい、補償して欲しい
 →民事的救済・刑事処分・行政処分・懲戒処分、犯罪被害者給付金等
犯人に謝罪させたい、更生してもらいたい
 →示談、刑事和解、被害者通知・情報提供制度

3 被害者自身の立ち直りをサポートする
警察の被害者支援員によるサポート
役所や福祉機関その他の公的機関によるサポート
VOISSその他の民間団体によるサポート
被害者を取り巻く身内・親族・勤務先・近所その他近しい者による、また近しい者達に対するサポート
刑事裁判手続における、被害者参加弁護士によるサポート

4 被害者自身の立ち直りを妨げる活動をしない
犯罪捜査における警察官や検察官による配慮
刑事裁判手続における、裁判所や刑事弁護人による配慮
裁判官や裁判員による、被害者が納得する妥当な判決
 →被害者自身は量刑など知らないので、事前に予想される判決を言わないことが大事。言うとしても、被告人に対する憎しみが強い場合には、量刑相場の範囲で軽めの判決予想を言って聞かせるなどの配慮も必要
マスコミによる配慮

三 民事的な被害者支援

1 犯罪被害にあったときの民事的救済方法=金銭
不法行為に基づく損害賠償請求(民法709条)
各種保険(自動車保険、生命保険、火災保険等)
→被害者自身がかけている保険以外でも、被害者の親族・加害者の親族のかけている保険を調査することで、保険金が支給されるものがあり得るので、十分に調査すべき
各種補償(自賠責、労災、犯罪被害者等給付金支給法)
名誉毀損の場合は謝罪広告(民法723条)

2 損害賠償請求の方法
(1) 交渉
(2) 民事調停、家事調停
(3) 民事訴訟
(4) 強制執行→ここが一番大きな問題

四 刑事的な被害者支援

1 告訴・告発・被害届の代理人としての作成

2 検察審査会に対する申立代理

3 警察や検察官による事情聴取等への付添・説明・意見陳述

4 刑事裁判における傍聴付添・説明
  その他、被害者参加等 五 以下で詳述

五 刑事裁判手続における被害者支援制度

1 被害者参加制度
(1) 被害者参加制度の対象事件
殺人、傷害・傷害致死等故意の犯罪行為により人を死傷させた罪、強制わいせつ・強姦の罪、業務上過失致死傷、自動車運転過失致死傷、逮捕・監禁罪、略取誘拐・人身売買の罪などの生命・身体・自由に対する重大な事件(刑訴法316条の33)
(2) 被害者参加人等(刑訴法290条の2)
被害者自身、死亡や重度故障がある場合の遺族・親族、これらの者の法定代理人、委託を受けた弁護士(被害者参加弁護士)
(3) 被害者参加の許可(刑訴法316条の33)
被害者参加人等からの申出により、相当と認めるときは裁判所が決定で参加を認める。
この申出は、検察官に行い、検察官が裁判所に通知する。
(4) 公判期日出席権(刑訴法316条の34)
被害者参加人等は、公判期日に出席することができる。
(5) 検察官に対する意見陳述権(刑訴法316条の35)
被害者参加人等は、検察官の権限行使について、意見を述べることができる。検察官には、その権限行使について説明義務あり。
(6) 情状証人への反対尋問権(刑訴法316条の36)
被告人の家族などの情状証人に対し、示談や謝罪の経過などに関する主尋問証言の弾劾として、反対尋問ができる。
尋問事項を明らかにして検察官に申出し、検察官が裁判所に通知した上で、裁判所が決定する。
(7) 被告人質問権(刑訴法316条の37)
論告後の意見陳述をするために必要な場合に、相当な範囲で質問できる。
これも、質問事項を明らかにして検察官に申出し、検察官が裁判所に通知した上で、裁判所が決定する。
(8) 求刑を含む意見陳述(刑訴法316条の38)
証拠調べ終了後、事実又は法律の適用について、検察官の求刑の後に、訴因として特定された事実の範囲内で、意見を陳述することができる。
検察官に対し申出をし、検察官が裁判所に通知した上で、裁判所が決定する。
(9) 「国選被害者参加弁護士制度」
被害者参加人から法テラスに選定請求があったときは、法テラスが指名通知し、裁判所が国選被害者参加弁護士を選定する。その報酬等は公費で、被害者参加人の負担はない(犯罪被害者保護法5~12条)。
→被害者参加人は傍聴席で聞くだけ、国選被害者参加弁護士が当事者席で対応、などということも可能だし、そもそも被害者参加人は傍聴席にいる必然性もない。刑事裁判はすべて国選被害者参加弁護士に任せて、後日概要を聞くだけ、ということも可能。

2 証人尋問における被害者への配慮
証人への付添い(刑訴法157条の2)
証人の遮へい措置(刑訴法157条の3)
ビデオリンク方式(刑訴法157条の4)

3 意見陳述制度(刑訴法292条の2)
こちらは、1(4)の意見陳述と異なり、被害者参加人でなくてもこちらの意見陳述権だけ行使することもできる。
1(4)と異なり、求刑はできない。

4 公判記録の閲覧・謄写
通常、被告人以外の者は、公判記録の閲覧・謄写はできないのが原則で、判決確定後に、確定判決記録の閲覧・謄写請求ができるのみ(刑訴法53条)
犯罪被害者であれば、理由が不当などの事情ない限り、第1回公判期日後に記録の閲覧・謄写をすることができる(犯罪被害者保護法3条)
第1回公判前でも、被害者参加するかどうか判断するために、検察庁に申請して閲覧・謄写申請ができる。

5 刑事和解
民事上の争いについての刑事訴訟手続における和解(犯罪被害者保護法13条)
刑事事件の審理中において、被告人と被害者との間で損害賠償等について示談が成立した場合に、申立てによって調書に記載すると、その記載が民事裁判上の和解と同様に、債務名義となり執行力を有する

6 損害賠償命令制度(犯罪被害者保護法17~32条)
(1) 刑事被告事件の終局裁判の告知の後、刑事裁判官が民事損害賠償命令を出す(犯罪被害者保護法20条)。
(2) 業務上過失致死傷罪や自動車運転過失致死傷罪は、損害賠償命令制度の対象事件から除外されている。
(3) 申立の時期は、刑事裁判手続の弁論終結まで(17条1項)。
(4) 特別の事情がある場合を除き、4回以内の期日において審理を終結しなければならない(23条3項)。
(5) 被告人の国選弁護人は、民事手続の代理人に選任されていなければ、刑事判決後の民事の審尋には出席できない。
(6) 当事者双方(被告人も被害者も)は、損害賠償命令の決定に対し、送達を受けた日から2週間以内に、異議の申立をすることができる(27条)。
(7) 適法な異議があったときは、同一審級の地裁あるいは簡裁に通常の民事訴訟の提起があったものとみなされ、通常の民事訴訟手続により審理される(28条)。
(8) 申立印紙は2000円の定額(36条)。ただし、異議や移送により通常の民事訴訟手続に移行したときは、被害者は損害賠償請求額に対応した印紙を追貼しなければならない。
(9) 損害賠償命令の申立については、国選被害者参加弁護士制度の範囲外であり、被害者が直接弁護士に依頼するか、法テラスの犯罪被害者法律援助制度を利用するか、しなければならない。
→弁護士費用がかかる、ということ

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