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弁護士インタビュー
佐賀オフィス・弁護士 力丸 哲

Profile:福岡県糸島市出身。2007年、九州大学法学部卒業。2011年、九州大学法科大学院卒業。2014年1月、弁護士登録。福岡の法律事務所をへて2015年7月、桑原法律事務所(佐賀オフィス)に入所。佐賀オフィス所長を務める。

 

川でおぼれ、兄に救われた経験

子どものころから「人の役に立つ仕事をしたい」と考えていました。小学2年の頃、近くの川で遊んでいた時におぼれ、命からがら助かった経験をしたのがきっかけです。4人兄弟で遊んでいて、私だけ流されてしまいました。

意識がもうろうとして、水中で光が遠くなっていく風景を、30年以上たった今も覚えています。

「このまま死ぬのかな」と思ったところを、2つ年上の兄が助けてくれました。兄も命がけだったと思います。「助けてもらって、生きていてよかった」。そんな思いを痛感しました。

命拾いした経験のおかげで「いろいろな人に生かされているな」という実感を早くから持っていました。自分の両親、その先の祖先、家を建ててくれた人や道路を造ってくれた人、みな、誰にも支えられて生きています。

命の恩人でもある兄のことをよく言わない人がいれば「そんなことない。兄貴はいいやつ」と主張することもありました。周囲の意見に流されない性格も、小さい頃に培われました。

高校時代に文系か理系かを選択する際、どんな分野でも対応できると考えて文系、さらに法学部を選びました。大学生時代は知見を広げようと海外を放浪して、司法試験の勉強はしていませんでした。3年から4年にかけて、就活する時期に法曹界を意識しました。

ゼミには3つ入っていました。憲法、民法、社会保障法です。法律の面白さを感じていたので弁護士を目指そうと考えました。

弁護士になって1年半ほど福岡の法律事務所で働き、桑原法律事務所に移りました。福岡オフィスの江頭弁護士に誘われたのがきっかけです。大学院と司法試験合格年が一緒の同期で、旧知の間柄でした。「いろいろな分野の事件ができそう」と感じたのが理由です。

 

新人のころの経験、初心忘るべからず

印象に残っているのは、新人のころ担当した交通事故です。「被害者参加制度」を利用して、事件で亡くなった方の関係者が刑事裁判に出廷することになりました。

被害者の側に立って尋問や意見陳述、被告人質問などをしますが、弁護士としてもまだ経験が少ないうえ、被害者参加制度は当時、まだ実施されたことの少ない手続きでした。先輩弁護士に尋ねても経験がない中、事前調査を尽くして最後までやり切ったのは自信につながりました。

新人1年目の刑事事件で、冤罪だと感じて勾留の取り消しを求めて弁護活動をした結果、認められたのも印象深い事件のひとつです。

これらの事件を通じて「積極的に動いたら成果がついてくる」と感じました。初心忘るべからずを今も胸に刻んでいます。

 

「自分だったら」と置き換えてみる

どんな案件でも「自分だったらどうだろう」「自分の家族だったらどうなんだろう」と、自分を依頼人の立場に置き換えるよう意識しています。

依頼人に話してもらった内容を踏まえ、話を組み立てることで見えてくるシーンがあります。「普通、こうするんじゃない」という点をきちんと踏まえて質問すると、話が深まり真相が見えやすくなると考えています。

現在は交通事故と企業法務を中心に担当しています。他分野含め、これまでざっと1000件ぐらいは担当していて、相談はその数倍あります。

法人でも個人でも依頼者から「トラブルを見える化してもらった」と言われることがあります。個人の方だと、初めてのトラブルでストレスを抱えている人も多くいらっしゃいます。例えば、解決方法として3パターンぐらいを提示して、それぞれ法律的な説明をして、よりよい選択をしていただきます。

よくあるトラブルなのか、あと数か月あれば解決が見通せる案件なのか、弁護士であれば見通せることもあります。不安な思いは弁護士が丁寧に説明することで、少しでも和らげることができます。正体不明のトラブルを「見える化」するのに、弁護士が役立つのではないでしょうか。

企業法務の場合は、問題が起きた後の対応ももちろんありますが、予防的に関わることも多いです。

企業としての規模が小さく、それほど法務面にリソースを割けないステージが終わり、従業員も少し多くなったころから顧問弁護士としてお手伝いさせていただくこともあります。法人設立前から都度のご相談や、顧問契約でお手伝いさせていただくこともあります。近くで企業が成長していく姿を見るのはやりがいを感じます。

九州大学法科大学院生の講師をしたり、司法修習生の指導担当弁護士をしたり、法律に関する講演会をしたり、小中学生の法教育の法廷劇のお手伝いをしたりもしていますので、誰かの成功や成長にかかることで、自分自身も成長できますし、やりがいも感じられます。

 

 

忘れたくない「人こそ宝」 の思い

弁護士に頼むだけで大げさなイメージを持っている方がいるのは分かります。費用面を心配される方も多いです。でも、問合せだけでも気軽にしていただいて大丈夫です。

桑原法律事務所では、ご相談の前に相談料の説明、ご依頼の前にも費用の説明をしています。

相談を伺って、「弁護士に頼むほどのトラブルではない」と感じた場合、我々のほうからそのようにお伝えします。「弁護士に頼んで裁判をするよりも・・」など、今後の見通しもお話ししています。

「裁判したくない」という希望があれば、裁判をした場合はどうなるか、裁判を選ばず協議した結果どうなるかという見込もお伝えします。できる限り、相談に来られた方の思いに寄り添いたいと思っています。

「自分だったら」「家族だったら」と同じ視点を持って、トラブルの「見える化」をお手伝いさせていただきます。

ご依頼いただいたトラブルが解決し、元の生活に戻られている姿を見たり、近況を知らせていただけると、とても励みになります。「その節はお世話になりました。おかげで、今、こういう生活が送れています」と聞けると、とても嬉しいです。

「人こそ宝」を日々、実感しています。同時に「一寸の虫にも五分の魂」という気持ちも持って、人以外の問題、例えば環境問題など、幅広い視点も忘れずにいたいと考えています。