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COLUMN

弁護士のコラム

公開日:2017.02.10

インターネット上の逮捕歴の検索結果について削除を認めないとした平成29年1月31日最高裁判決

判例について

先日、当ブログで相続税対策の養子縁組が有効であるとの判断が示されたとご紹介させていただきました。

上記判決と同日である29年1月31日に、最高裁は、インターネット上の逮捕歴の検索結果について削除を認めないという判決も下していますので、こちらもご紹介させていただきます。

最高裁は、検索結果の削除を求めることができるか否かの判断基準として、下記のように判示しています。

「検索事業者が、ある者に関する条件による検索の求めに応じ、その者のプライバシーに属する事実を含む記事等が掲載されたウェブサイトのURL等情報を検索結果の一部として提供する行為が違法となるか否かは、当該事実の性質及び内容、当該URL等情報が提供されることによってその者のプライバシーに属する事実が伝達される範囲とその者が被る具体的被害の程度、その者の社会的地位や影響力、上記記事等の目的や意義、上記記事等が掲載された時の社会的状況とその後の変化、上記記事等において当該事実を記載する必要性など、当該事実を公表されない法的利益と当該URL等情報を検索結果として提供する理由に関する諸事情を比較衡量して判断すべきもので、その結果、当該事実を公表されない法的利益が優越することが明らかな場合には、検索事業者に対し、当該URL等情報を検索結果から削除することを求めることができるものと解するのが相当である。」

 

随分長いのでわかりにくいですが、最高裁はこのように長い判断基準を定立することが多いです。

そのうえで、最高裁は、本件について、以下のように結論を出しています。

 

「抗告人は、本件検索結果に含まれるURLで識別されるウェブサイトに本件事実の全部又は一部を含む記事等が掲載されているとして本件検索結果の削除を求めているところ、児童買春をしたとの被疑事実に基づき逮捕されたという本件事実は、他人にみだりに知られたくない抗告人のプライバシーに属する事実であるものではあるが、児童買春が児童に対する性的搾取及び性的虐待と位置付けられており、社会的に強い非難の対象とされ、罰則をもって禁止されていることに照らし、今なお公共の利害に関する事項であるといえる。また、本件検索結果は抗告人の居住する県の名称及び抗告人の氏名を条件とした場合の検索結果の一部であることなどからすると、本件事実が伝達される範囲はある程度限られたものであるといえる。
以上の諸事情に照らすと、被告人が妻子と共に生活し、前期1(1)の罰金刑に処せられた後は一定期間犯罪を犯すことなく民間企業で稼働していることがうかがわれることなどの事情を考慮しても、本件事実を公表されない法的利益が優越することが明らかであるとはいえない。」

 

「当該事実を公表されない法的利益が優越することが明らかな場合には」という要件からすれば、削除請求が認められるケースはかなり限定されるのではないかと予想されます。

もっとも、具体的な事情により結論は変わると思われますので、このような事案でお困りの方は是非当事務所にご相談いただきたいと思います。

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