公開日:2017.02.11
遺産分割協議はお早めに。
江頭ブログ
こんにちは、弁護士の江頭です。
今日は相続に関するお話を少ししたいと思います。
人が亡くなれば相続が発生します。
相続が発生すれば、いわゆる相続人といわれる方に、お亡くなりになった方の権利義務(いわゆる遺産。プラスだけではなくマイナスも含む。)の一切が承継されることとなります(承継したくない、という方は、相続放棄という手続きを採ることになります。)。
相続人が一人の場合は、その方に全ての遺産が相続されることになるのでシンプルなんですが、相続人が複数いるという場合になると、遺産はいったん相続人の皆さんで共有することとなります。
この共有状態を解消するため、すなわち、各遺産を誰が相続するか、ということを決めるためには、相続人の皆さんで遺産分割協議をしなければなりません。要するに話し合いをしなければなりません。その場で、この遺産は貴方が相続する、この遺産は貴方が相続する、ということを決めていくわけですね。
ところで、この遺産分割協議はいつまでにしなければならないかご存知ですか?
法律には「これはいつまでにしないといけない。」などといった期間制限に関する規定が多々存在するのですが、実は、法は、遺産分割協議に関しては期間制限に関する規定を設けていません。
いつやってもいいんですね。極端な話、その方がお亡くなりになられたあと、100年後に、その方の遺産分割協議をする、ということでも法律上はまったく問題ございません。
実際問題、近しい方がお亡くなりになっても、遺産分割協議をなされない方も世の中にはたくさんいらっしゃいます。しなくても、特に不都合がないから、ということなんだと思います。
例えば、旦那さんがお亡くなりになり、旦那さんには自宅しか財産がないというような場合、同居していた奥さんが、遠方にいるお子さんと自宅を誰が相続するか、という遺産分割協議を行い、自宅の登記名義を奥さんに変えないと自宅を使えなくなるなどの不都合があるかというと、それはないという場合が多かろうと思います。
このようなケースで、物事を短期的な視点から見てしまうと、「遺産分割協議なんて別にすぐにしなくてもいいじゃん」、ということになりそうですね。
しかし、中長期的に見てみるとどうでしょう?
例えば、先の事例で、旦那さんがお亡くなりになったあと、100年後に、旦那さんの相続人のうちの一人が、旦那さんのご自宅を売却したいと思った場合、簡単に売却ができるかを考えてみましょう。
遺産分割未了物件を売却をする場合、全相続人の方の同意がいります。そんなときに相続人が、100年の間にねずみ算式に増えていて、数十人になっていたらどうでしょう。しかも、その数十人のうち、大半が会ったことすらないというような人だったらどうでしょう。簡単に承諾をいただけるでしょうか。
ケースバイケースだとは思いますが、このようなケースを想定すると、必ずしも遺産分割協議をすぐにしなくてもいい、ということにはならないような気がしませんか?
「遺産分割協議をせずとも不都合がないからといってしない。」ということではなく、「遺産分割協議は不都合がなくてもする。早めにする。」ということでお考えいただくべきかと思っています。
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弁護士 江頭太地