公開日:2017.09.28
扶養請求権とは
桑原ブログ , 法律コラム
親族は、互いに扶養する義務がある。
そのような法律があるのをご存知ですか?
民法第877条第1項 直系血族及び兄弟姉妹は、互いに扶養をする義務がある。第2項 家庭裁判所は、特別の事情があるときは、前項に規定する場合のほか、三親等内の親族間においても扶養の義務を負わせることができる。
法律に根拠がある、ということは、扶養請求は、裁判所に請求できる権利なのです。
扶養請求の事案
比較的多い事案としては、以下のような事案があります。
① 年金収入の乏しい高齢の母親が、経済的に裕福な長男に、扶養料を直接請求する場合
② ①において、扶養料を支払った長男が、同じく経済的に裕福な次男に、母親のために支払った扶養料の一部を求償する場合
② 離婚して、未成年者の親権者となった母親が、養育費の支払能力のない父親の代わりに、裕福な父方の祖父母に扶養料を請求する場合
などなど。
扶養請求できる人とは?
直系血族や兄弟姉妹には当然のように扶養義務があると規定されています(第1項)し、おじ・おば=おい・めいの関係でも、特別の事情があれば、扶養請求をすることが可能です。
直系血族とは、親子、祖父母と孫のような縦の関係のことです。
扶養請求の実情
実務上、直接扶養料の支払いを求める扶養請求事件や、扶養義務を履行した者が他の扶養義務者にも負担を求める扶養料の求償請求事件、ともに多くありません。
これは、経済的に自立した(自立すべき)大人が、親族に頼るのは恥であるという国民性があるのかもしれません。
また、事件として多くないため、扶養請求事件に携わったことのない弁護士も多く、扶養請求が問題となる事案なのに、そのアドバイスをしない弁護士が多いのかもしれません。
専門家のアドバイスを受けられなければ、多くの方があきらめてしまうのでしょう。
扶養請求については弁護士にご相談ください
扶養義務の存否の認定や金額の設定には、血縁の近さ、義務者と権利者との経済力、他の義務対象者の経済力、これまでの義務者と権利者の関係など、様々な事情を勘案の上で裁判所が定めるとされていますので、弁護士にきちんと相談し、適正な扶養を実現いたしましょう。