公開日:2018.06.25
同一労働同一賃金 ― 平成30年6月1日最高裁判決 ―
桑原ブログ , 判例について
平成30年6月1日、無期雇用労働者(正社員)と有期雇用労働者(非正規社員)の待遇の違いに関する最高裁判決が2件、言い渡されました。
いずれも、運送事業を営む会社を従業員が訴えたものであり、
1つは(株)ハマキョウレックスを有期雇用労働者が訴えた事件、
もう1つは長澤運輸(株)を定年退職後再雇用された嘱託社員が訴えた事件です。
労働契約法第20条には、有期雇用労働者(非正規社員)の労働条件は、無期雇用労働者(正社員)の労働条件と比較して、原則として、不合理であってはならない、と定められています。
非正規社員らは不合理な差別があると主張して、それぞれ会社を訴えたのでした。
結論としては、いずれの事件においても、非正規社員の訴えの一部が認められていますが、長澤運輸事件においては、定年後再雇用されたという特殊性を踏まえ、ある程度、正社員との待遇に差を設けることは許容されてしかるべきという価値観が示され、非正規社員の訴えの大部分が退けられた(基本的に、精勤手当の差異のみが不合理と判断された)のに対し、ハマキョウレックス事件ではそのような特殊性がないことから、非正規社員の訴えが幅広く認められました(無事故手当、作業手当、給食手当、皆勤手当、通勤手当など広範囲にわたって不合理であり、少なくとも77万円以上を支払えとの判断が確定)。
(株)ハマキョウレックスは東証一部上場企業でもあり、平成25年3月31日現在非正規社員が3935名もいたようであり、今後訴えに加わらなかった多くの非正規社員にいかなる支払いをしていくのか、企業に与える財務的インパクトは大きく、イメージダウンも甚大です。
皆様の会社でも、正社員とは別に、非正規社員用の就業規則を作っていませんか。
あるいは、正社員とは異なる内容の労働契約書を非正規社員と締結していませんか。
今回の最高裁判決の趣旨を踏まえ、不合理な差別的取扱いとなってしまっていないか、この機会に、弁護士に是非ご相談ください。
弁護士 桑原