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COLUMN

弁護士のコラム

公開日:2019.02.25

労使間トラブル/サービス残業トラブル

桑原ブログ

労使間トラブルは、毎日のように報道されていますね。

未払い残業代、加重労働によるうつ発症や自殺と労災認定、正規・非正規の賃金格差トラブル、各種ハラスメントなど、トラブルは多発しておりますし、法改正も頻繁に行われています。

 

労働者を保護するための法律として、労働基準法がありますが、世の中の会社で「厳格に労働基準法を100%守っている」と自信を持って言える会社はどのくらいあるでしょうか。

例えば、朝、始業時間よりかなり早くから出勤して活動している従業員や、昼所定の1時間休憩を実質的には取っていない従業員がいる会社。
そもそも基本給、各種手当、残業代の計算が、毎月適正に行われていない会社。
退勤のタイムカードを押したうえで従業員が自主的に活動を続けているのを黙認している会社。
「管理職」の肩書があり一定の権限は与えられているけれども、判例が定めた「管理監督者」の基準には該当しない従業員が存在している会社、など…。

叩けばいくらでもほこりが出てきてしまう会社が、多いのではないでしょうか。

また、労働基準法における賃金計算はかなり複雑で、就業規則や労働契約書の記載に応じて、会社ごと、従業員ごとに適用が変わってくるため、きちんと運用していたつもりでも、客観的には労働基準法違反の状態だった、ということがあり得ます。

 

これまでは、「サービス残業トラブル」に対して、多くの従業員が泣き寝入りしてきた実情がありました。それは、① 信用・出世の壁、② 労力の壁、③ コストの壁、④ 立証の壁、⑤ 時効の壁などがあったからです。

① 信用・出世の壁とは、
企業に勤めながらサービス残業代を請求することは、出世の道を阻害しかねないことから我慢する、ということですが、転職市場が活況で、国民の権利意識も向上している現在、この壁はなくなりつつあります。

② 労力の壁については、
確かに訴訟手続きなどを前提とすると従前は負担が重かったと思われますが、労使間トラブルを解決する労働局のあっせん手続や、裁判所の労働審判など、簡易な紛争解決手続きが増えていますので、この壁も低くなり始めています。

③ コストの壁についても、
民事トラブル一般に使える弁護士費用保険の普及や、今後着手金無料・完全成功報酬制をうたう法律事務所の増加により、この壁もなくなっていくことが予想されます。

④ 立証の壁ですが、
従前は残業時間の立証が一つの壁となっていた訳ですが、スマートフォンの位置情報機能等でオフィスに滞在していたことは客観的に立証できる時代になっており、立証の壁も徐々になくなってきています。

⑤ 時効の壁ですが、
現在労働基準法115条で、給料債権の消滅時効は2年とされ、最後の2年分しか請求できないため請求額が安くならざるを得なかったのですが、2020年4月施行予定の改正民法で時効期間が原則5年とされますので、それに合わせて給料債権の消滅時効も5年とされる可能性が高く、今までの約2.5倍に請求可能性が広がります。請求額が増えるなら、従業員もやってみようという気になりやすいですし、そのような事件を受けたがる弁護士も増えそうです。

 

労使間紛争が現に増え始めた流れは、今後加速することが予想されますし、従業員とのトラブルは非常に疲弊します。企業の側も、早め早めに労働環境を労働基準法の定めるあるべき姿に整え、従業員が生き生きと末永く働ける職場環境を実現しましょう。

 

弁護士 桑原

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