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COLUMN

弁護士のコラム

公開日:2019.06.30

同一労働・同一賃金(有期雇用労働者と無期雇用労働者)

桑原ブログ , 判例について

働き方改革関連法案のうち、パートや有期雇用労働者と、無期雇用労働者との同一労働・同一賃金の原則が、パート・有期労働法という同じ法律が所管することになるのをご存知でしょうか。

現行法の元では、有期雇用労働者と無期雇用労働者の労働条件の不合理な差別を禁止する規定が労働契約法20条にあり、パートタイム労働者と通常の労働者との労働条件の不合理な差別を禁止する規定がいわゆるパートタイム労働法8条に規定されていました。

表現も異なるため、それぞれを読みづらかったのですが、来年4月1日に改正法が施行される短時間労働者及び有期雇用労働者の雇用管理の改善等に関する法律(略して、「パート・有期労働法」)8条では両条文が一つになりましたので、分かりやすくなりました。

さて、労務関係に詳しい方には有名な、ハマキョウレックス事件長澤運輸事件(最高裁平成30年6月1日)判決において、正規と非正規の労働条件の相違について、賃金項目ごとに判断する仕組みが判示された訳ですが、その後も各地の地裁・高裁では勝ったり負けたりを繰り返しており、同一労働・同一賃金の判断基準が裁判官によってまちまちで、労使双方にとってどうすべきか分かりにくい状態が続いています。

そんな中、今年の2月に、アルバイト職員に賞与を認めないのは不合理とする大阪医科大学事件(大阪高裁平成31年2月15日)判決や、契約社員に退職金を認めないのは不合理とするメトロコマース事件(東京高裁平成31年2月20日)判決が出て、世間を驚かせました。いずれも、1審では全部又は大部分の労働条件が不合理でないと判断されていましたが、ハマキョウ・長澤最高裁判決を踏まえて、各高等裁判所が概ね労働者側に有利に結論を変更したものです。

それぞれの判決の原文をよく読みこんでみますと、事案の特殊性があったり、判決理由が全く理論的でなかったりするので、一般化にはなじみにくいと思いますが、各企業が非正規職員の労働条件を考える際には押さえておかなければならない判例と言えるのではないでしょうか。

なお、今回ご紹介した各判決は、最高裁判所のHPからもダウンロードできますので、勉強されたい方はそちらで勉強されるのもよいかもしれません(読みづらいですが・・・)。

弁護士 桑原

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