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COLUMN

弁護士のコラム

公開日:2018.07.25

相続関連の改正民法について

桑原ブログ

平成30年7月6日、40年ぶりに相続関連の規定を見直す改正民法が成立しました。

配偶者居住権という新しい制度が導入されるとともに、遺言制度や遺留分等について、実務上の問題点を踏まえて改正されています。

今回は、皆さんにも関わりそうな改正内容を概観しましょう。

まずは、配偶者居住権です。例えば、夫は妻とともに暮らしていたが、遺言書も書かずに亡くなってしまった場合。この場合、改正前の民法では、妻がこの不動産を取得するには、夫の子らに相当額のお金を支払わなければならないとされ、妻がこの不動産への居住を希望しても遺産分割を主張する子らともめてしまうことがありました。今回の民法改正により、妻は遺産分割において所有権を取得できなくても、無償での居住権を主張することができ、当該不動産に住み続けられることになりました。

また、被相続人が死亡した場合に、金融機関は口座を凍結し、相続人らが葬儀代等の支払のために払出しを希望しても、全相続人間で遺産分割をまとめない限り、払出しを受けられませんでしたが、今回の法改正で預貯金額の3分の1については、遺産分割がまとまっていなくても、法定相続分の範囲で払出請求できる権利を相続人に認めました。

そのほか、自筆証書遺言の遺産目録については、パソコン等で作成したものでも(自署でなくても)認めるとか、自筆証書遺言を法務局が保管する制度なども導入され、実務上大いに活用されるでしょう。

また、従来の民法では、子の配偶者がいくら父母の財産の形成や維持に貢献しても、これを寄与分として配偶者に遺産分割で与えることはできませんでしたが、今回の法改正により、特別の寄与に関する審判として、配偶者の貢献を斟酌できることになりました。

また、今までの実務では非常に難解で使いにくかった遺留分(遺言書等をもってしても奪えない相続人に遺されるべき取り分)の侵害については、金銭的に解決される制度が設けられました。

改正法が施行された後、銀行実務、不動産登記実務、その他の相続関連の業界がどう変わっていくのか、今後のあり方が注目されますが、我々も相続関連業務に関与する者として、新しい改正法を正確・的確に活用できるよう、精進してまいりたいと思います。

弁護士 桑原

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