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COLUMN

弁護士のコラム

公開日:2022.08.18

契約書は何のため?誰のため?

桑原ブログ

猛暑の夏がやってまいりました。コロナの感染拡大も続いており、日常経済生活と感染拡大抑止のバランスを取る政策が続く中、なぜ今このような政策を取っているのか、政治が的確に説明することが求められます。

さて皆様、「契約書」と聞いて、何をイメージされますか。新しい取引先と取引に入る際に、儀式として行わざるを得ない行為とか、取引相手から求められれば対応せざるを得ない行為といったイメージを抱かれる方もおられるかもしれません。

「契約書」を定義付けるとすれば、自分(自社)と相手方(取引先)との今回及び今後のルールを明確にした書面のことを言います。単発の契約では、不動産売買など単価の大きな契約でない限り、契約書自体が作成されないことも多いですが、継続的な取引関係に入る場合には、契約書をもって相互のルール作りを行うことは多いものです。

当事務所でも、顧問先から契約書のチェック依頼を受けることがありますが、契約書を何のためにチェックするのか、そもそも契約書は何のために存在するのかについて、顧問先と共有できていないと、ミスマッチがおきてしまうおそれもあるように思います。

ネット上にも契約書式が氾濫していることもあり、適当なサイトから書式を引っ張ってきて、なんとなく自社の製品やサービスに当てはめて微修正をした上で、それを基本書式として活用している中小企業も多いものですが、契約書内の条文どうしが矛盾していたり、条文の記載内容が不明確・不十分なためにかえって両当事者がその条項の解釈をめぐってもめたりする紛争をたくさん見てきました。法律とか契約というものは、書式をコピペして微修正すればどうにかなるものではありません。しっかり顧問弁護士に、自社の製品やサービスの特性を理解してもらった上で、包括的にチェックしてもらうことをお勧めします。

最近私が契約書をチェックする際にクライアントの方にお伝えしていることは、「自社と取引先とは相互にウィンウィンな関係を構築していきたいですか、それとも取引先とはいずれもめるリスクがありそうだから自社のリスクを最小限にする内容で契約書を作り込みたいですか」ということです。

確かに契約書は、当事者間でもめたときに活用される場面が出てくるものですので、なるべく自社に有利な内容で作りこんでおきたいというニーズがあるのは分かります(損害賠償の制限条項や免責条項、相手方にだけ義務を課す内容など)。しかしながら、自社に有利な契約条項を提案してこれを押し通してしまった場合、相手方は少なからず力関係の不平等に不満を感じ、契約期間中に何かあったときに、契約締結時の不信感が契約解消の決め手になってしまうこともある訳です。

力関係でのバランスが崩れたとき、個人も法人も相手方にどうしても不信感を抱くものです。自社の提供する契約書式が、自社に厳格な義務を課し、相手方のちょっとしたミスを許容するような内容のものである場合、このような契約書式での契約提案を受けた取引先は、自社の製品やサービスにそれほど自信があるのかとかえって感動し、ファンになってしまう効果もあるかもしれません。

旧態依然の自社に有利な契約書式を使い続けている企業の皆様。この機会に自社の契約書式を見直し、相手方とウィンウィンな関係となれる対等な取引関係を築いてみませんか。

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