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COLUMN

弁護士のコラム

公開日:2022.12.15

相続登記の義務化や所有者不明不動産の解消をめぐる法整備

桑原ブログ

朝晩の気温もぐっと下がり、コートが必要な日が増えてきました。私はここ2年ほど、朝6時台の電車で通勤をしていますが、7時頃の博多駅周辺はまだ人通りも少なく、爽快に博多→祇園間を闊歩しています。

 

さて、相続登記の義務化や所有者不明不動産の解消等に関する各種法令の最初の施行日が、来年4月1日に迫ってきました。専門家向けのルールが多いのですが、一般の方にもそれなりに影響の大きい内容が盛り込まれていますので、今回は全体感をつかんでいただき、皆様にも関係のある箇所については各種サイトで情報をしっかりとチェックいただきたいと思います。少しだけ詳しい情報を知りたいという方は、法務省サイトの「令和3年民法・不動産登記法改正、相続土地国庫帰属法のポイント」が分かりやすいです。

2017年度国土交通省の地籍調査によると、不動産登記簿で土地所有者等の所在が確認できない所有者不明土地の割合は22%を占め、その内訳は相続登記未了が66%、住所変更登記未了が34%との結果でした。不動産登記がされないまま放置されることで、所有者の探索に多大な時間とコストが必要となったり、当該不動産が適切に管理されなくなったり、不動産の利活用が阻害されたりして、公共事業や民間取引にも支障が生じ、隣地所有者にも悪影響を与えるなど、社会問題化していました。

抜本的に解決するため、今回の一連の法整備では、土地基本法や民法、不動産登記法といった基本的な法律を始めとして、所有者不明土地利用円滑化法、相続土地国庫帰属法、表題部所有者不明土地登記管理適正化法といった法律が、改正又は制定されています。

主要な整備内容について、施行日順に、概観してみましょう。

まず、202341日に改正民法が施行されます。所有者不明土地管理制度の創設、共有者が不明な場合の共有地利用の円滑化、被相続人が死亡して10年経過した遺産分割の見直し(法定相続分での分割みなし)などが行われています。

ついで、2023427日には、相続土地国庫帰属法が施行されます。相続を契機に土地を手放したいと考える相続人のために、一定額の負担金を納付することで、当該土地を国庫に帰属させる制度です。承認要件も事細かに規定されていますが、ざっくり言えば、国が処分又は管理するのに過分の費用と労力を要するか、が判断基準となります。

202441日には、改正不動産登記法が施行されます。不動産を取得した相続人には、取得を知った日から3年以内の相続登記申請が義務付けられ、違反者には過料の制裁が課せられます。

さらにその後、施行日は未定ですが、改正不動産登記法により、住所変更をした者には、住所変更日から2年以内の変更登記申請が義務付けられ、違反者には過料の制裁が課せられます。

 

改正・制定項目は多岐にわたるので、おいおい各論的な解説記事を執筆したいと思いますが、法改正や法整備後は、当該分野に関連するマーケットは活性化することが多いものです。関連業界の方は特に、新しいルールをしっかり把握して、ビジネスチャンスに生かしましょう。

 

 

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