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COLUMN

弁護士のコラム

公開日:2024.08.26

倒産の増加と予防対策

桑原ブログ

梅雨明けから一気に連日の猛暑日となっており、冷房の効いたオフィスから外出するたびに、高温の空気に囲まれとても不快になりますが、今後も真夏の高温傾向は続きますので、しっかりと体調管理にも留意しながら、日々を過ごしてまいりましょう。

さて上半期も終わり、企業倒産が急ペースで増加中との報道がなされています。帝国データバンクや東京商工リサーチからの報告によれば、2015年以降の10年間で、1000万円以上の負債を抱えた企業の倒産件数が、上半期で最大の4887件となっているとのことです。2021年の上半期の倒産件数が3083件だったので、急激に増加している状態であり、2024年の年間では1万件を超える可能性も出てきました。倒産件数が急増している背景には、各種コロナ支援策が終結した反動だけでなく、急激な円安を背景とした物価高や、少子化を背景とした深刻な人手不足などの原因があるようです。業界や地域によって多少のばらつきはありますが、ほぼすべての業界と多くの地域で増加傾向となっています。

法律事務所にも、破産に関する相談が多く寄せられています。我々弁護士も、破産以外の各種オプション(事業譲渡・株式譲渡などのM&Aや追加借り入れ等)の検討もするのですが、予約が入る時点で多くの相談者が他のオプションをやり尽くしているため、どうしても弁護士は破産に向けた活動をすることが多くなります。
法人が破産申立をする場合、裁判所費用と弁護士費用が必然的にかかってくる訳ですが、通常は最低でも100万円以上はかかるものですし、事業内容や債権者数、従業員数、事業所の多さ、在庫商品や車両等の多さ、事業継続中か、といった要素によってはもっと高額費用が掛かる場合もありますので、企業経営者としてはキャッシュ的に余力のある状態で倒産に向けた準備をしなければなりません。
また自社の取引先が、ある日「突然倒産した」と伝えてくるリスクも、必然的に高まってきています。当事務所の関係先からも、取引先企業から倒産したとの通知が来た、どうすればよいかといった相談が増えているようです。
「破産予定」という通知が弁護士から届いてしまうと、それ以降当該取引先から直接回収することは困難になってきます。
そのため、ある程度高額の売掛金や未払金が発生する取引先に対しては、常に経営状態に問題がないか、信用を疑わせるような事情は発生していないか、担当者間のやり取りの中で回収不能リスクの兆候がないか、予防的にチェックすることも大切です。
またそもそも論として、継続的な取引契約を締結するタイミングで、保証人や担保の取付けといった債権保全活動を行うことや、売掛金が倒産した場合に補償してくれる取引信用保険を保険会社と契約しておくことも有効な予防策の1つといえるでしょう。

債権回収の裁判で数年戦って何とか勝訴判決を得て、さてこれから回収だ、強制執行だというタイミングで、被告企業が倒産することもありましたね・・・

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