公開日:2025.08.01
選択的夫婦別姓制度の導入の是非について
桑原ブログ
7月20日、参議院議員選挙が行われ、自民党・公明党の与党が過半数割れに追い込まれるとともに、前回の衆院選で躍進した国民民主党のほか、新興政党であり「日本人ファースト」を選挙のキャッチコピーに据えた参政党が躍進を果たしました。
参政党がいわゆるSNS マーケティングを駆使して急激に知名度と人気を高める中、同党は外国人による土地取得規制とか、夫婦同姓の堅持といったこれまでの既存の政党の主張とは一線を画する新たな主張を訴えて、それが注目を集めて、自公政権や多くの野党を押さえて躍進するに至ったと言えそうです。
さて、夫婦別姓制度の導入の可否について、どう思われますか。
多くの野党が夫婦別姓制度の導入に積極的なのに対し、自民党、維新の会、参政党などは、現在の戸籍を堅持した上での通称使用や旧姓を名乗れる制度の法制化を提案する施策を掲げています。
夫婦別姓制度への反対意見として、日本の伝統だとか、子供にどちらの姓を名乗らせるのかの選択を迫らせてしまう問題などが言われていますが、これだけでは説得力がないと感じます。
欧米では当然に夫婦別姓なわけですが、近隣の韓国や中国がどうなっているのか気になったので調べてみました。
まず韓国ですが、婚姻をしても、姓は変わりません(夫婦別姓は当然)。ただし、子は父の姓を原則とするというルールがあります。2005年の違憲判決を受け法改正して、子が母の姓を名乗ることも可能というルールができたようですが、現場には必ずしも浸透しておらず、現在、子は原則父の姓を名乗るとするルール自体が男女平等原則に反するのではないかと法改正が議論されているそうです。
次に中国ですが、婚姻をしても姓は変わりません(夫婦別姓は当然)。昔は、夫の姓を名乗るという伝統があったようですが、中華人民共和国が成立した際に男女平等ルールが適用されて、別姓の維持というルールに変わったそうです。子供は、いずれかの姓を名乗るか、夫と妻の姓を合体した新しい姓を作ってその姓を名乗るか、祖父母の姓を名乗るなど、結構自由に姓を選べるようです。
そう考えますと、日本だけが極端に特殊な訳ですが、夫婦同姓の原則を採用している国は世界で1つ、日本だけだそうです。
夫婦別姓への反対意見の1つとして、日本の伝統という理由がありましたが、江戸時代までは多くの国民に姓がなかったわけですし、貴族や武士階級にも女性はそもそも姓を名乗る慣習もなかったようなので、夫婦同姓が伝統であるなどと果たして言えるのかは疑問です。
議論がなかなか進まないのは、①夫婦同姓は維持されるべきかと、子の姓をどうすべきかの、2つの論点が存在していること、②手段として、現行の戸籍制度を改正すべきかと、戸籍制度を維持して通称使用や旧姓使用などの新たな特別法を制定すべきか、という議論も存在するからです。
これら①②の論点だけでも、2×2で4パターンの異なる意見があり得るということです。
人間は、シンプルにA かB かという2択で考えるのは得意ですが、別の論点を含めて議論が複雑化し始めると、A の論点に対する反論の中でB の論点を持ち出してそれに対する反論をしてしまうことも多くなりがちで、そうなると要領を得ないディスカッションとなりがちです。論点ごとに、シンプルに整理して考察するのが大事です。
いずれにせよ、どの政党も現行法制に不具合があるという部分では共通認識があるのですから、何らかの結論を早く出して不具合を改善してほしいものです。

