公開日:2025.11.04
法律にまつわる生成 AI の活用
桑原ブログ
秋の風が心地よく感じられる季節になりました。少し前まで「猛暑」でしたが、涼やかな秋はあっという間に過ぎ去って、寒い冬の到来が予想されており、インフルエンザも急拡大しているようですので、皆様も体調管理にはくれぐれもお気を付けください。
さて、生成 AI はここ数年で急速な進化を遂げ、今や ChatGPT、Claude、Google、Gemini、Microsoft Copilot、Perplexity、Genspark といった汎用型の AI ツールも身近に多くの人が利用するようになりました。当事務所でもこれらのツールを駆使して、法令調査、証拠整理、契約書レビュー支援、議事録作成など幅広い業務に活用し始めています。AI を「第二のパラリーガル」と位置付け、弁護士が本来集中すべき戦略立案や依頼者対応にリソースを振り向ける仕組みを整えつつあります。
現時点において、無料版と有料版の生成 AI では性能に明確な違いがあります。無料版は簡易な検索や文章作成に便利ですが、もっともらしい日本語で平然と嘘の回答をしてくることがまだまだ多いです。クライアントが無料版の回答を鵜呑みにして質問してくることもままあり、「それは AI 回答ですか。その回答は偽ですよ。」とアドバイスすることも多いです。
他方で、有料版は長文の文脈理解や高度な要約・情報整理で精度が高く、法解釈の場面でも、無料版と全く同じプロンプトで質問をしたとしても、虚偽回答をしてくることがほとんどありませんので、法務現場での活用可能性は今後ますます広がっていくでしょう。
とはいえ、いわゆる専門領域に属する法律問題に関しては、必ずしもインターネット上ではあまり情報を拾えないとも感じており、インターネット上の情報をベースに回答を組成する AI にとって、回答精度の高さはまだまだだと感じるところでもあり、「高度な解釈」と「戦略的判断」については、AI が人間の専門家に追い付くのはまだ未来の話なのだなと感じています。
AI は助力者であっても判断者ではなく、弁護士は提示された情報を批判的に吟味し、依頼者に最適な情報と解決策を導く責任を負っています。むしろ情報過多の時代だからこそ、法的リスクを正確に読み解く専門知の重要性は増しています。
当事務所は、AI を単なる効率化ツールとしてではなく、依頼者の体験価値を高めるための基盤として位置付けています。相談内容の事前整理、法令・判例の可視化、紛争解決プロセスの透明化などの「見える化」についても、従来まではリソース不足や能力不
足でそれほど実現できなかったところですが、今後は AI を活用することで、こういった可視化も比較的容易にできるでしょうから、クライアントの皆様が納得感を持ちながら進められるようなリーガルサービスを追求します。
これからも、新しい技術を取り込み、皆さまの信頼に応えるための挑戦を続けてまいります。

