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COLUMN

弁護士のコラム

公開日:2026.05.01

「相談できる組織 」・問題を小さく収める会社の秘訣

桑原ブログ

新緑がまぶしい季節となりました。新年度が始まって一か月余り。組織の中でも、新しい方針や目標、価値観を共有する機会が多い時期ではないかと思います。
しかし、組織というものは人が増えれば増えるほど、その「運営」の難しさを痛感することも少なくありません。今月は、「言葉の解釈」にまつわるエピソードから、企業の命運を分ける「相談」の重要性についてお話しします。

先日の事務所会議で、代表である私が「いつでも弁護士」というキャッチフレーズを提案しました。困ったことがあれば、多くの人が自然に「あの弁護士に聞いてみよう」と思ってもらえるような組織になりたい、という思いを一言で表したつもりでした。
ところが、メンバーの一部は異なる解釈をしていました。 「弁護士たるもの、私生活を含め24時間365日、常に法律家としての高い倫理観と矜持を保ち続けるべし」と。
クライアントにもっと「気軽に利用してほしい」という私と、「弁護士としての品格を保ち続けよ」という精神論と受け取った一部メンバー。 この時、幸いにもファシリテーターが交通整理をしてくれ、認識のズレに即座に気付くことができました。
しかしもし、私が一方的に訓示を述べて終わるだけの場であれば、一部メンバーは「代表はなんて厳しい精神論をぶつけてくるんだ」と戦々恐々とし、私は私で「なぜみんな、もっと親しみやすいサービスを提供しようとしないんだ」と、互いに不満や違和感を抱えかねなかった訳です。

改めて痛感したのは、「言葉の解釈は常に多義的。耳から入る情報や要約されたフレーズだけの表現は、受け手の経験や感情によって驚くほど変わり得る」というリスクです。
経営者が良かれと思って発した一言が、現場では全く別の意味、時には脅威や負担として解釈され、そこから「言行不一致」や「認識の齟齬」という綻びが生まれていきます。この「認識のズレ」の小さな火種の蓄積や増大こそが、実はトラブルを大きくさせてしまうのです。

我々弁護士が日々扱う紛争の多くは、最初から大きなトラブルだったわけではありません。 最初は、ごく小さな「違和感」や「ちょっとしたミス」から始まっています。それがなぜ、裁判沙汰になるほどの「大事件」にまで成長してしまうのか。そこには明確な共通項があります。

⑴ 認識の遅れ ちょっとした違和感やちょっとしたミスを、まだこれくらいなら大丈夫だろうと自己判断してしまう。
⑵ 相談の遅れ 少しまずいかなという認識に至っても、 「まだ自分で解決できる」「恥をさらしたくない」という心理が、相談の遅れへとつながります。
⑶ 報告の欠如 部下が上司に、現場が経営層に、「悪いニュース」を伝えにくい環境が問題を地下に潜らせます。
⑷ 記録の不足 「言った、言わない」の議論は、客観的な記録がないからこそ泥沼化します。

問題を小さく収めることができる会社は、一言で言えば「相談できる組織」です。「相談できる組織」は、単に雰囲気が良い組織という意味ではありません。小さな違和感を見逃さず、認識のずれを放置せず、必要な報告と記録を残し、早い段階で問題(トラブルの芽)を共有できる組織です。そうした組織が、問題を致命傷にする前に修正し、生き残っていけるのだと思います。

予防法務とは、問題が起きない魔法ではありません。問題が小さいうちに問題が生じていることにいち早く気付けるか、そしてその小さな問題の芽を速やかに相談でき、解決していける体制がつくられ、運用として歯車が回っているか。そこに本質的な意味があります。

「いつでも、気軽に弁護士を」
私たちは皆さまの小さな気付きを拾い上げるパートナーとして、これからも真摯に寄り添ってまいります。

ご相談から解決まで、
高い満足度をお約束。

ご相談から解決まで、高い満足度をお約束。

最初にご相談いただくときから、問題が解決するまで、依頼者様の高い満足度をお約束します。
そのために、私たちは、専門性・交渉力(強さ)×接遇・対応力(優しさ)の両面を高める努力をしています。