公開日:2012.05.10
管轄について…義務履行地の管轄って何か変
桑原ブログ
「管轄」とは、裁判手続きをどの裁判所で扱うべきか、の決まり事です。
民事訴訟法第4条では、管轄は原則として被告の住所地とする、と定められています。
いきなり裁判を、自分の住所地とは全く違う場所で起こされたらかないません。しかも、「被告」という立場で。
訴えを起こす人が、相手の住所を所管する裁判所まで出向いて裁判をしなさい、というのが、民事訴訟法の原則なのです。
しかし、これにはたくさんの例外があります。民事訴訟法第5条などに、たくさん列記されています。
今回はそのうち、「義務履行地」(民事訴訟法第5条1号)を紹介します。
金銭の支払いを求める訴訟の場合、義務履行地である債権者たる原告の住所地にて、訴えを提起できます。つまり、裁判で最も多い事件であろう、お金の支払を求める訴訟が、原告の住所地で訴え提起できるのです。
あれっ?民事訴訟法では、被告の住所地で訴えを提起するのが原則ではないの?
民事訴訟法上の原則と例外が、お金の支払を求める訴訟では、逆になっています。
被告の住所地で裁判をしなさい、という民事訴訟法4条は、骨抜きになっているのです。