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交通事故

2021/10/29

後遺障害等級認定の流れ

交通事故の被害にあって後遺障害が残ってしまったら、後遺障害の等級認定を受ける必要があります。このとき、被害者としては、まずは何から手をつけて、どのような流れで認定手続きが進んでいくのか、押さえておく必要があります。桑原法律事務所の弁護士が解説します。

後遺障害の等級認定とは

交通事故によって後遺障害が残ると、日常生活や仕事などにも大きな支障が発生します。そこで、後遺障害慰謝料や後遺障害逸失利益などの適正な賠償金の支払いを受けるべきです。

ただ、こうした支払いを受けるためには、原則「後遺障害等級認定」を受ける必要があります。後遺障害等級認定とは、後遺障害の内容や程度に応じて、等級を決定する手続きです。

後遺障害には、1級から14級までの等級が設けられています。それは、ひと言で後遺障害といっても、いろいろな症状があるからです。発症する部位もさまざまですし、程度や内容もケースによって異なります。そこで、公平に後遺障害にもとづく賠償金を計算するために、定型的な後遺障害の認定基準と等級を定めています。

後遺障害が残ったら、どの等級のどの症状に該当するのかを見極めて、適切な等級の認定を受ける必要があります。

後遺障害等級認定の仕組み

後遺障害の等級認定は、どのようにして行われているのでしょうか?

まず、認定を行っているのは、自賠責保険・自賠責共済(以下「自賠責」)です。
そこで、後遺障害の等級認定請求をするときには、相手の自賠責に対し、認定の申請を行う必要があります。

申請の方法には、被害者請求事前認定という2種類の方法がありますが、このことについては別の記事で説明いたします。

自賠責は、後遺障害等級認定の申請を受けると、損害保険料率算定機構という調査機関に資料を送ります。すると、調査事務所が後遺障害に該当するかどうかの調査を行い、その結果をもとに、自賠責が後遺障害等級認定するかどうかを決定します。

後遺障害等級認定で重要なポイント

後遺障害の等級認定において、判断材料は、基本的に書面です。
膨大な後遺障害等級認定の申請に対し、公平かつ迅速に対応するためです。
書面主義(書面審査主義)と呼ばれます。

そして、書面の中でも、レントゲンやCT、MRIなどの画像診断、客観的検査結果は、非常に重要視されます。こうした所見は嘘をつかないからです。そこで、後遺障害等級認定を申請するときには、画像診断や客観的検査結果を中心とした客観的な資料を揃えることが重要なポイントです。

必要な検査が足りていない場合には、追加で検査を受けることなども必要になってきます。

後遺障害等級認定の流れ

1.後遺障害診断書を取得する

後遺障害等級認定を受けるためには、まずは「後遺障害診断書」を取得する必要があります。
後遺障害診断書とは、後遺障害の内容に特化した診断書です。自賠責保険又は自賠責共済(以下「自賠責」)に依頼すると、書式をもらうことができますし、交通事故案件に力を入れている弁護士事務所でも、受けとることができます。書式をもらったら、担当医師に渡して、診断書の作成を依頼します。

2.自賠責保険に等級認定申請をする

医師に後遺障害診断書を作成してもらったら、相手の自賠責に対し、等級認定申請の手続を行います。このときの方法には、事前認定被害者請求の2種類があります。

被害者請求の場合には、自賠責から保険金請求用の用紙一式を送ってもらい、被害者が自分で必要書類や資料を揃えます。一般には、以下のような書類が必要です。

  • 保険金(共済金)・損害賠償額・仮渡金支払請求書
  • 交通事故証明書(人身事故)
  • 事故発生状況報告書
  • 診断書
  • 診療報酬明細書
  • 通院交通費明細書
  • 休業損害についての証明資料(休業損害証明書、源泉徴収票等)
  • 印鑑証明書
  • 後遺障害診断書
  • レントゲンやMRIなどの検査資料

他にも、必要書類が発生するケースもあります。
すべて揃ったら、まとめて相手の自賠責へと送付します。

3.損害保険料率算定機構にて調査が行われる

相手の自賠責に請求用の一式書類を送ると、自賠責が損害保険料率算定機構という機関に、書類を送って調査を依頼します。すると、損害保険料率算定機構が、調査事務所を使って後遺障害についての調査を行います。
このとき、調査事務所から被害者に対し、追加の資料提出の連絡などが来ることもあります。

4.結果が通知される

調査事務所における調査が済むと、結果が損害保険料率算定機構に通知されます。

被害者に対しては、相手の自賠責から、書面によって結果が通知されることとなります。このとき被害者が受けとる書面の内容は、認定された等級(〇級〇号)または「非該当」という結果が書いてあり、簡単な認定理由が記載されたものです。

5.保険金の支払い

被害者請求で後遺障害の等級認定を受けた場合、認定後、自賠責から認定された等級に応じた保険金の支払いを受けることができます。

6.異議申立て

認定された等級や非該当結果に不服がある場合には、再度相手の自賠責に対し、異議申立ての手続きを行うことも可能です。ただ、異議申立てを認めてもらうには、一度目の結果を踏まえて、足りないところを補うための主張や資料提出をするなどの工夫が必要です。

後遺障害の等級認定については弁護士にご相談ください

後遺障害等級認定の手続きは、素人では要件等を正確に把握しにくいため、被害者ご自身が対応されると、適切に認定を受けられないこともあります。適切に後遺障害等級認定を受けるには、後遺障害の認定基準や認定要件を把握した上で、しっかりと書面による立証資料を用意することが重要です。

より確実に、後遺障害の等級認定を受けるためには、専門的な知識やノウハウが必要です。被害者がご自身で対応されると、どうしても対応が不十分になり、思うように等級認定を受けられないことも多いです。

当事務所では、後遺障害等級認定にも力を入れておりますので、お困りの場合には、是非ご相談ください。交通事故のご相談は、無料相談(初回30分)を承っております。