公開日:2018.01.08
最終更新日:2021.10.29
CASE
- 相続放棄
被相続人の預貯金から葬儀費用を出したら、相続放棄できる?
目次CONTENTS
Q.被相続人の預貯金から葬儀費用を出したら、相続放棄はできますか?
A.相続財産から葬儀費用を支出した場合でも、必要最小限であれば相続放棄は可能です。
以下で、弁護士がくわしく解説いたします。
法定単純承認について
相続人は、相続開始の時(死亡時)から被相続人の権利義務を承継します。
「相続放棄」とは、相続の開始を知った時(通常は死亡時)から、原則3ヶ月以内に家庭裁判所に申述して、被相続人の権利義務を承継しないようにすることです。
相続財産を処分すると相続を承認したことになり、相続放棄できない
被相続人の相続財産を処分してしまうと、相続を承認したとして(=法定単純承認)、相続放棄できなくなります。相続人は、単純承認したときは、無限に被相続人の権利義務を承継します。承認の撤回はできません。
また、仮に家庭裁判所で相続放棄の申述が受理されても、実は相続放棄に無効原因が存在するという場合は、相続放棄の無効を主張され(最判昭和29年12月24日判決等)、被相続人の借金の返済等を求められる可能性もあります。
葬儀費用が必要最小限であれば相続放棄は可能
では、被相続人の預貯金等の相続財産から葬儀費用を捻出してしまった場合、相続放棄できなくなってしまうのでしょうか?この点、身分相応の葬儀費用であれば相続財産から支出しても法定単純承認には当たらないとする裁判例があります(大阪高判平成14年7月3日決定等)。
一方で、必要最小限の費用を超えるような場合には、相続放棄できないこととなります。

【監修】 弁護士法人桑原法律事務所 弁護士 桑原貴洋 (代表/福岡オフィス所長)
- 保有資格: 弁護士・MBA(経営学修士)・税理士・家族信託専門士
- 略歴: 1998年弁護士登録。福岡県弁護士会所属。日本弁護士連合会 理事、九州弁護士会連合会 理事、佐賀県弁護士会 会長などを歴任。