MENU
お問合せ

CASES

案件別コラム

公開日:2020.05.11

CASE

  • 自己破産
  • 一般民事

慰謝料請求していた相手方が破産したらどうなる?

目次CONTENTS

[ Q ]

以前、妻の浮気相手に対し、慰謝料を求めて裁判をし、「300万円を支払え」という内容の判決を獲得したうえで、回収を図っていました。しかしこの度、裁判所から手紙が届き、その浮気相手について破産手続が始まったとのことでした。その後、免責決定も出ているようです。
この場合、300万円を回収することはできなくなってしまうのでしょうか。

[ A ]

慰謝料の回収は困難である可能性が極めて高いでしょう。
以下で、詳しく解説していきます。

免責決定について

免責決定が確定した場合、破産者は、破産債権(破産手続きが始まる前に作っていた借金等のこと。ただし税金等は除く。)について、その責任を免れるとされています(破産法253条1項柱書)。よってこの場合、破産債権の債権者は、基本的には、債権回収を諦めるほかなくなります。

もっとも、これには例外があり、免責決定後であっても、引き続き責任を免れ得ない破産債権がいくつか存在しています。これを法律上、非免責債権(ひめんせきさいけん)といいます。

非免責債権とは

法律が、非免責債権として定めているのは、次の債権です。

①租税等の請求権(破産法253条1項1号)
②破産者が悪意で加えた不法行為による損害賠償請求権(同2号)
③破産者が故意又は重大な過失により加えた人の生命・身体を害する不法行為に基づく損害賠償請求権(同3号)
④親族関係に係る請求権(同4号)
⑤雇用関係に基づく使用人の請求権及び使用人の預り金返還請求権(同5号)
⑥破産者が知りながら債権者名簿に記載しなかった債権(同6号)
⑦罰金等の請求権(同7号)

慰謝料請求権は非免責債権にあたるか

質問の事例を見てみると、慰謝料請求権も破産債権ですので、免責決定が出て確定してしまっている場合、上記の非免責債権に該当しない限り、回収は困難ということになります。

今回の慰謝料請求権が、①、④~⑦に該当しないことは明らかです。また、慰謝料、すなわち精神的苦痛に対しての賠償金ですので、③人の生命・身体を害する不法行為に基づく損害賠償請求権でもありません。

残るは、②に該当するかということになりますが、問題は「悪意」といえるかという点です。
ここでいう「悪意」とは、単なる故意ではなく、他人を害する積極的な意欲、すなわち「害意」を意味すると考えられています。質問者の方を害する目的で不貞に及んでいたというのであれば別ですが、そういった目的で不貞に及ぶという事例は極めてまれでしょうから、先の質問の事例も含め、不貞を理由とする慰謝料請求権が非免責債権となるケースは極めてまれといわざるを得ないでしょう。

よって、ご質問のケースでは、慰謝料の回収は困難である可能性が極めて高いといえるでしょう。