公開日:2018.06.05 最終更新日:2021.10.01
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寄与分とは|弁護士が解説します
【本記事の監修】 福岡の弁護士 弁護士法人桑原法律事務所 弁護士 桑原貴洋 (代表/福岡オフィス所長)
- 保有資格: 弁護士・MBA(経営学修士)・税理士・家族信託専門士
- 略歴: 1998年弁護士登録。福岡県弁護士会所属。
日本弁護士連合会 理事、九州弁護士会連合会 理事、佐賀県弁護士会 会長などを歴任。
目次CONTENTS
寄与分とは、相続人の中で、被相続人(亡くなった人)の財産を増加または維持するために特別に関与した人がいる場合に、その関与を金銭的に評価し、その人が相続で取得する財産に加えるというものです。
寄与分が問題となるケースとは?
寄与分が問題となるケースは、以下のとおりに分類されます(民法904条の2第1項)。
1 被相続人の事業に関する労務の提供
被相続人が行っていた事業(農業、商売等)に従事することによって寄与分が認められることがあります。ただし、その事業への従事は無償であることが求められます。
2 被相続人の事業に関する財産上の給付
被相続人が行っていた事業(農業、商売等)に対し、金銭、不動産等を給付した場合に寄与分が認められることがあります。ただし、この場合も無償であることが求められます。
3 被相続人の療養看護
被相続人に対して療養看護を行ったことにより、被相続人が付添人等の費用の支出を免れた場合に寄与分が認められることがあります。ただし、その療養看護は、親族の扶助を超えた特別の寄与に値するものでなければなりません。
4 その他
その他にも、被相続人を引き取って生活費を支出していた場合(扶養型)や、被相続人の財産を管理した場合(財産管理型)なども寄与分として認められる場合があります。
寄与分の計算について
寄与分は、被相続人財産を増加または維持するために特別な寄与をした場合にのみに認められます。そのため、寄与の時期、方法および程度その他の寄与の実情(家事事件手続規則102条2項2号)を明らかにする必要があります。
1 寄与額の計算
寄与の時期、方法及び程度、それによる財産の維持または増加の事実
2 当然の負担額の計算
被相続人と寄与者の身分関係、生活関係(通常の寄与または特別の寄与)の事実
3 対価や特別の便益の計算
寄与の対価(報酬)、被相続人からの生前贈与(便益等)の事実
寄与分の計算方法
上記1~3を明らかにしたうえで、寄与分の計算を大まかに言うと、
「1 寄与の総額」から「2 当然の負担額」および「3 対価や特別便益」を控除した金額を基礎として、他の相続人の寄与の程度等諸般の事情を考慮して、最終的な寄与分(特別な寄与)が認定されることになります。
【寄与分の計算式】 寄与分=寄与の総額-当然の負担額-対価や特別便益 |
※本記事は、公開日時点の法律や情報をもとに執筆しております。