公開日:2018.12.10 最終更新日:2021.10.12
CASE
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交通事故の過失割合どのように判断する?事故状況を明らかにするには?

【本記事の監修】 福岡の弁護士 弁護士法人桑原法律事務所 弁護士 桑原貴洋 (代表/福岡オフィス所長)
- 保有資格: 弁護士・MBA(経営学修士)・税理士・家族信託専門士
- 略歴: 1998年弁護士登録。福岡県弁護士会所属。
日本弁護士連合会 理事、九州弁護士会連合会 理事、佐賀県弁護士会 会長などを歴任。
目次CONTENTS
事故当事者双方の不注意によって事故が生じた場合、過失割合が問題となります。
自身にも過失があった事故である場合、自身の過失割合分は自己負担となります。
例えば、車同士の事故で修理費等の100万円の損害を被り、自身にも30%の過失があるという場合、過失相殺によって、相手当事者は金70万円しか賠償義務が存在しません。残り30万円は、自己負担です。
では、過失割合はどのように判断されるのでしょうか。
過失割合を判断するには、まずはその前提事実となる事故状況が明らかになっていることが必要です。
事故状況が不明な場合や争いがある場合にどのように事故状況を明らかにするのか
例えば、車同士の事故当事者双方が「相手が赤信号無視で交差点に進入し出会頭に衝突したのだ」と主張しているような場合や、車両のスピード違反の有無について争いがあるような場合、どのように事故状況を明らかにしていけば良いのでしょうか。
例えば、次のような方法で事故状況を明らかにしていきます。
事故状況を明らかにする方法
まず、決定的な証拠となるのは、ドライブレコーダー、防犯カメラなどに事故状況が写っていることです。そのような証拠が無い場合、第三者の目撃証言などを得られれば、それも有力な証拠です。
また、客観的に、車両の損傷の形状、程度、事故現場状況、道路上のタイヤ痕、衝突後の停車位置、周囲物の飛散状況などから、衝突時の速度や衝突角度などを導き出すことが出来るケースが相当数あります。信号については、警察から信号サイクルを確認することも出来ます。
事故後、事故当事者が警察に対してどのように説明しているか、客観的な証拠と整合性があるかなども確認します。
このようにして、事実としての事故状況を明らかにしていきます。ただし、どうしても事故状況が明らかとならない場合には、最終的には主張立証責任の問題にて処理しなければなりません。
事故状況が明らかである場合にどのように過失割合を判断するのか
- 車両 対 車両の交通事故の場合
- 歩行者 対 車両の交通事故の場合
- 道路の瑕疵によって、歩行者や車両が転倒するなどの事故を起こした場合
などに、過失割合が問題となりえます。
明らかになっている事故状況に基づき、双方の注意義務違反の程度を比較し、公平の観点から過失割合が定められます。これまで交通事故の裁判は数多にのぼり、類型的な事故状況に応じて一定の目安が存在しています。
追突事故の過失割合
単純な追突事故であれば、過失割合は追突車100% 対 被追突者0%です。
運転手は“前方を走る車が急停止した場合でも”追突しない車間距離を保つ義務があり、追突事故は、専ら、追突車運転手の車間距離不保持、前方不注視といった注意義務違反によって生じるものです。
ただ、車の運転手は、危険を防止するためやむを得ない場合を除き急ブレーキをかけてはならない義務もあるところ、被追突車が当該義務に反して急ブレーキを踏んだといった事情がある場合(例えば、歩道にいる友人を見つけて、声をかけるために急ブレーキを踏んだ場合など)は、その他に過失割合に影響する事情がなければ、追突車70% 対 被追突車30%の過失割合となります。
※本記事は、公開日時点の法律や情報をもとに執筆しております。