MENU
お問合せ

LEGAL COLUMN

法律コラム

公開日:2021.11.30 最終更新日:2022.08.23

CASE

  • 法律コラム
  • 企業法務

商標とは|手続きや効果|登録商標権を侵害していると言われたらどうする?

目次CONTENTS

「商標」とは何でしょうか。

商標法上、商標とは、①商品またはサービスに使用される、②標章(人の知覚によって認識することができるもののうち、文字、図形、記号、立体的形状もしくは色彩またはこれらの結合、音など)と定義されています(商標法2条)

この記事では、商標について桑原法律事務所の弁護士が解説いたします。

商標法の目的と意義

商標法は「商標を保護することにより、商標の使用をする者の業務上の信用の維持を図り、もつて産業の発達に寄与し、あわせて需要者の利益を保護することを目的」として定められた法律です(商標法1条)

例えば、商標がきちんと機能している場合、買い手にとっては商標を確認するだけで「これは信頼できる企業の商品(またはサービス)だから購入しよう」と言って購入(または利用)できるようになります。

自社ブランドを広めたい売り手にとっても、売りやすくなります。

そして、売り買いが活性化することで、産業も発達します。

成功したブランドを模倣した偽物ブランドが市場に出回ってしまう現実はありますが、その販売が違法として処罰対象にもされているのは、買い手の利益、売り手の利益、そして産業発達が目的です。

商標登録の手続き:商標権の発生と効果

商標登録の手続きは、特許庁に「商標登録出願」をして、既存登録がなく登録可能と査定されれば、登録料納付後、商標登録原簿に登録されて商標権が発生します。

商標権の効果として、商標権者は、その商品またはサービスについて商標使用権を専有(商標法25条本文)、他人によるその類似範囲の使用があった場合には、使用の差止請求や損害賠償請求をすることができるようになります(商標法36条~38条)

刑罰としても、商標権侵害者に対しては10年以下の懲役、1000万円の罰金のいずれかまたは両方が科せられます。さらに法人が侵害した際には、別途法人にも3億円以下の罰金が科せられることになります(商標法78条、82条)

商標権登録は基本、早いもの勝ち

商標権登録は基本的に早いもの勝ちです。日本は、海外の先進国に比べて商標権などの意識が低いと言われることがありますが、自社サービス保護等の観点からきちんと商標権登録の手続きをしておくべきでしょう。

なお、日本での商標権の効力は日本全国に及びます。ただし外国には及びませんので、外国で事業を行う場合、その国での権利取得を検討することが必要となります。

商標法違反(商標権侵害)とは

商標権を有する者や会社は,設定の登録から10年間の存続期間内において,指定商品について登録商標を使用する権利を専有しています(ただし,存続期間は更新することができます。)。

商標権侵害とは,登録商標と同一の指定商品に,登録商標を使用する行為のことを言います。たとえば,偽ブランドの商品をそれと知りながら販売する行為などがこれに該当します。

商標法違反については,10年以下の懲役もしくは1000万円以下の罰金,またはその両方が併科されるとされており,非常に重い刑罰が定められています。商標の価値をそれだけ守ろうとしているのです。

「登録商標権の侵害である」と他社から連絡がきたらどうする?

自社の商品について、他社から「登録商標権の侵害である」と連絡が来た場合は、どのように対応すればよいでしょうか。

登録商標を侵害しているかどうか判断するには、複数の項目について検討する必要があります。

1. まずは相手会社の登録商標を確認しましょう

どのようなものが登録商標とされているのかは、インターネット上で確認することができます。【特許情報プラットホーム】のHPで登録番号やキーワードを入力し、相手会社の登録商標を確認してみましょう。

2. 自社の標章の利用方法を確認しましょう

どのような使用方法が商標法上の標章の使用にあたるかは、商標法2条3項に規定されています。しかし、条文を読んでみても、簡単に判断することはできません。

前述のとおり、商標法の条文だけを見て、侵害の可否を判断することは容易ではありません。また、使用方法だけでなく、標章と登録商標の類似性も考えなくてはなりません。

これを判断するためには、昭和43年2月27日付けの最高裁判所の判例が参考になります。

商標の類否は、対比される両商標が同一または類似の商品に使用された場合に、商品の出所につき誤認混同を生ずるおそれがあるか否かによって決すべきであるが、それには、そのような商品に使用された商標がその外観、観念、称呼等によって取引者に与える印象、記憶、連想等を総合して全体的に考察すべく、しかもその商品の取引の実情を明らかにしうるかぎり、その具体的な取引状況に基づいて判断するのを相当とする。

この判例によると、商標法2条3項とあわせて「取引の実情」も判断材料とする必要があるということです。

ビルの写真

商標に関わるトラブルは弁護士にご相談ください

自社が相手会社の商標権を侵害しているかどうかは、「標章が事実として類似している」という点だけではなく、その他の法的判断も考慮する必要があるため、該当性を判断することは容易ではありません。

商標に関わるトラブルにお困りの方は、ぜひ、法律の専門家にご相談ください。

企業法務ニュースレターのお申込み

「医療・介護」「飲食・ホテル」「小売・店舗」「保育園」「タクシー」「士業」「不動産」「コンサルタント」「人材サービス」「フィットネス」など30名以下のサービス業に特化した顧問弁護士サービス
月額11,000円でお試し可能!詳しくはこちらをご覧ください >

 

※本記事は、公開日時点の法律や情報をもとに執筆しております。