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法律コラム

公開日:2018.02.25

最終更新日:2022.07.04

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  • 企業法務

契約書がなくても契約は成立する?作成義務、署名捺印の注意点|弁護士が解説

目次CONTENTS

契約書と聞くと、銀行で口座を開設する、不動産屋で賃貸アパートを借りる、自動車を購入してローンを組む、レンタルDVD 店で会員カードを発行してもらう、などをイメージされるかと思います。誰でも「●●契約書」という書面に署名捺印をされたことはあるのではないでしょうか。

契約書は「両当事者間において、今後一定の法律関係が生じることを前提に、両当事者間で争いのない事項(合意・約束する事項)を書面を持って明確にするための書類」と定義づけることができます。

契約をする場合には、契約書を作成しなければならない?

契約書を作成しないと契約は成立しないのでしょうか。

結論からいうと、ケースバイケースです。

まず基本的には、契約書がなくても(口頭での合意などでも)契約自体は成立し、有効であることが多いです。法的には必ずしも必要とはされていませんが、契約書は作成することをおすすめいたします。

契約書の作成が必須ではない場合でも、たとえば口約束で契約が成立した場合には、後々契約内容について言った・言わないのトラブルになることもあり得ますし、決めておくべき事項について決め忘れるということもあり得ます。

メールのやり取りで契約が成立した場合においても、何が最終的な契約内容であるのか不明確となる場合があり得ます。

このようなトラブルを回避するために、契約書という書面で証拠を残すことになります。

契約書がなければ成立しない契約も存在する

書面がなければ成立しない契約も存在します。

身近な例でいえば、保証契約です。法律上 、保証契約については書面でしなければ、効力を生じないことになっています。

また、事業に係る債務の保証に関しては、単なる書面ではなく、公証役場にて公正証書の作成まで必要です 。

契約の成立と契約書作成の意味

契約は、当事者の合意によって成立します。合意の方法は書面に限らず、口頭もありますし、場合によっては黙示的な行動で契約が成立する場合もあります。

黙示による売買契約とは、例えば「コンビニのレジで商品を黙って店員に差し出し、お金を払う行為 」などです。

契約書を作成する意味とは

契約書を作成することには、次のような意味合いがあります。

  1. 契約内容の明確化
    口頭や黙示では、契約内容がどのようなものだったのか、「記憶」という不確かな情報に頼らざるを得ません。
  2. 当事者で争いになったときの重要な証拠
    契約内容や契約自体の存否が、当事者間で争いになることは少なくありません。
  3. リスクの認知
    契約書を作成するためには、内容を精査することになるかと思います。その過程で、自身が抱えるリスクが明らかになるので、契約を慎重に結ぶことが可能です。

契約書作成義務がある場合とは

契約書作成義務があるケースもあります。

宅建業者の方には、契約内容を記載した書面の交付義務がありますので、実質的に契約書の作成義務があると言えます(宅地建物取引業法37条)

また、業者が、消費者等を相手に訪問販売電話勧誘販売などの形態で取引を行う場合にも、書面交付義務があるため、契約書の作成義務があります(特定商取引4条、5条、18条、19条)

さらに前述のとおり、業種や取引形態に関係なく(連帯)保証契約は契約成立要件として契約書を作成する必要があります(民法446条2項)

いずれも、類型的に契約トラブルが起きやすいことから、契約を慎重に行うために制度上そのように義務づけられているのです。

取引先から提示された契約書にそのまま応じてもよい?

取引先から契約書を提示され、署名押印を求められた場合、提示された契約書にそのまま応じてもよいのでしょうか?

結論から申し上げますと、そのまま応じることは避けた方が無難かと思われます。
なぜなら一般的には、取引先の提供する契約書には取引先に有利(当方にとって不利)な条項が含まれていることが多く、思わぬ負担を強いられるおそれがあるためです。

取引先との力関係、契約締結を急ぐ事情の有無等、様々な考慮要素を総合的に考慮する必要がありますが、原則としては、そのまま応じることはせず、専門家である弁護士に契約書のチェックを依頼されることをおすすめいたします。

契約書に署名・捺印する際の注意点

多くの方は儀式として契約書への署名・捺印を行っているでしょうから、「●●契約書」の不動文字で書かれたたくさんの契約条項を、1条1条しっかり読み込んだうえで署名・捺印される方はほとんどいないのではないでしょうか。

不利な内容の契約書に署名・捺印すると拘束されてしまう

しかし、契約書への署名・捺印は、決して儀式として行われるものではありません。契約書に署名・捺印してしまうと、不利な条項がたくさん記載されていても、その不利な記載内容に署名した人は拘束されてしまいます。「そんな条項は読んでいない」とか、「そんな不利な条項を契約書にうたうようなひどい会社だとは思わなかった」などと訴えても、裁判では原則として負けてしまうのです。

不利な条項は可能な限り減らしておきましょう

契約書は、契約者が、少しでも自己に有利な契約条件で相手方と取引を行うために取り交わすものですから、自己にとって不利な条項があれば、適用除外をお願いしたり、特記事項として別途条項を定め、不利な条項は可能な限り減らしておく必要があるのです。

認印を使って作成した契約書は有効?

法律上、契約書に本人の署名か押印があれば、基本的に契約書に記載された内容で契約が成立したと判断されることとなります(民事訴訟法228条4項)。法的には、印鑑は、実印でなければならないといった制限はありません。認印でも何ら問題はありません

しかし、契約書が偽造であるなどの主張があった場合、実印の方がそのような主張を排斥できる可能性が高いと考えられます。もっとも、偽造との主張は容易に認められるものではないので、トラブル回避のためには、まずは契約書を作成することが重要です。

契約

法律に違反する契約は有効?

法律に違反する契約の条項には、効力がないのでしょうか。法律に違反する条項の有効性については、その条項が、どの法律のどの規定に反するかによって異なります。

任意規定と強行規定

まず、法律には、「任意規定」と「強行規定」があります。

任意規定とは、法律に違反していたとしても当事者間が合意した条項が有効となるものを指します。当事者間の契約は自由であることが原則ですので、法律に定められた規定は、任意規定とされることが多いです。

強行規定とは、当事者間の合意した条項よりも法律の規定が優先される場合の法律の規定をいいます。すなわち、法律の規定に違反した条項を定めたとしても、その条項は効力がなく、法律の規定が適用されることになります。

借地借家法、労働基準法などの労働関係法規、利息制限法、特定商取引法、消費者契約法などには、明示的に強行規定が含まれています。

なお、明示的ではなくとも、その法律の規定の趣旨等から強行規定と解釈されることもあり得ますので注意が必要です。

また、取締法規に反する条項(建築基準法違反の建築請負契約など)の有効性については、その法規の趣旨等から、当該条項を有効とするか、無効とするかが解釈されることとなります。

契約書の作成にあたっては、このような点にも注意する必要がありますので、事前に弁護士にご相談ください。

Q.契約書は口約束でも成立する?

ご相談
取引先から契約書を取り交わしたいと言われています。口約束だけで契約は成立すると聞きましたので断りたいのですが、間違っていますか?

A 口約束でも契約は成立します。

一部の契約類型(例えば,保証契約)を除き、契約は、口約束であっても、そこに当事者の合意があれば有効に成立します。売買契約でも、業務委託契約でも同様に成立します。

では、何のために契約書を作成するのでしょうか。

目的はケースよって様々ですが、一般論としては、契約内容の明確化及びこれによる紛争の予防という目的があります。

たとえば、売買契約の合意対象は、金額や納期などの基本的な事柄だけでなく、引渡しや契約不適合責任(目的物が契約内容に適合しないこと)についての考え方、解除事由、秘密保持に関する規定、管轄に関する規定など多岐にわたります。

仮に、口約束でこれら一つ一つを細かく合意していったとして、その合意内容を半永久的に、当事者間で行き違いなく記憶することは難しいでしょう。

平行線・水掛け論

契約内容が明確になっていない中でトラブルが起きた場合、「あそこはこうだったはず」「いや違う」などの言った・言わないの水掛け論になってしまいます。これでは、いつまでもトラブルを沈静化することができません。

このような場合に、契約書があり、契約内容が明確になっていれば、そもそもトラブルにならない可能性もありますし、仮にトラブルになっても小さなトラブルで済むことにもなります。

契約書を取り交わすとなると、面倒だと感じるかと思いますが、一度トラブルになってしまうとそれ以上に煩雑になってしまいますので、契約書の取り交わしについては,前向きにご検討いただくことをおすすめいたします。

現在使用している契約書を見直しましょう

経営者の方は、日々さまざまな契約書を取り交わしていらっしゃると思います。現在お使いの契約書はどのように作成されましたでしょうか。

弁護士は業務として契約書のチェックもいたしますが、「インターネットのひな型から自社の業務に該当するところだけ抜き出して作成した」「他社の契約書を見よう見まねで作成した」という方も、多くいらっしゃいます。

経営者は、自社の契約書が自社にとって有利な記載内容となっているか確認する必要がありますから、自社の契約書を見直すとともに、他社の契約書に署名・捺印する場合にまずは弁護士にチェックしてもらうことを強くおすすめいたします。

桑原法律事務所のスタッフ

契約についてのご相談は弁護士法人桑原法律事務所へ

継続的契約、条件が複雑、高額な案件などの場合には、契約書の作成を強くおすすめしています。

「契約書を交わす習慣がないから大丈夫」「これまでトラブルになっていないから大丈夫」と考えずに、何らかの契約をする際には、ぜひ事前に契約内容について弁護士にご相談ください。

当事務所では、顧問サービスの一環としても、契約書のチェック簡易な契約書の作成を承っています。複雑な契約書であっても、顧問先様であることを考慮した費用のご提案もさせていただいております。顧問契約の活用もぜひご検討ください。

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