公開日:2018.05.25
CASE
- 労働問題(企業側)
- 労働問題(労働者側)
従業員の留学費用と退職トラブル
目次CONTENTS
Q.
従業員に1年間の語学留学を命じていました。ところが、留学から帰ってきたとたん、退職されてしまいました。留学費用は会社で負担していたのに勝手に辞められるなんて納得できません。どうしたらいいのでしょうか。
A.
会社の従業員を育成するために、費用は会社負担で海外に語学留学させるというのはよくあることだと思います。
留学から帰ってきてすぐに辞められるとなると、会社の損失にしかなりません。そこで、すぐに辞めないように、「〇〇年以内に辞めたら〇〇万円支払え」という趣旨の誓約書を事前に取り交わしたい、と考えるかもしれません。
しかし、労働基準法第16条には、「使用者は、労働契約の不履行について違約金を定め、又は損害賠償額を予定する契約をしてはならない。」という規定があります。
過去の多くの裁判例でも、従業員の支払いを予定した誓約書(記載内容は多種多様です。)が労働基準法第16条に違反するかどうかが争われてきました。
誓約書の記載内容にもよるため、ケースバイケースではありますが、もし、労働基準法第16条に違反していると、誓約書そのものが無効になってしまいます。
従業員の留学や高額な費用のかかかる研修等をご検討の方で、労働基準法16条の問題をクリアしたいとお考えの事業所の方は、お気軽に当事務所までお問い合わせください。

【監修】 弁護士法人桑原法律事務所 弁護士 桑原貴洋 (代表/福岡オフィス所長)
- 保有資格: 弁護士・MBA(経営学修士)・税理士・家族信託専門士
- 略歴: 1998年弁護士登録。福岡県弁護士会所属。日本弁護士連合会 理事、九州弁護士会連合会 理事、佐賀県弁護士会 会長などを歴任。