公開日:2019.05.17 最終更新日:2022.06.15
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少額訴訟と支払督促の違いとは?|弁護士が解説
【本記事の監修】 弁護士法人桑原法律事務所 弁護士 桑原貴洋 (代表/福岡オフィス所長)
- 保有資格: 弁護士・MBA(経営学修士)・税理士・家族信託専門士
- 略歴: 1998年弁護士登録。福岡県弁護士会所属。
日本弁護士連合会 理事、九州弁護士会連合会 理事、佐賀県弁護士会 会長などを歴任。
目次CONTENTS
少額訴訟や支払督促というものをご存知でしょうか。この記事では、少額訴訟と支払い督促の違いについて、桑原法律事務所の弁護士が解説します。
少額訴訟とは|特徴・メリット
- 主請求の訴額が60万円以下の金銭支払請求事件
- 原則として1回の期日で審理を終了し、即日判決の言渡しをする
- 簡易裁判所の訴訟手続
少額訴訟には、大きく4つの特徴があります。
1.迅速かつ効果的な判決
少額訴訟は、通常の民事訴訟と比較し、迅速かつ効果的な解決を求めていますので、一期日審理及び即日判決が原則とされています。
また、証拠調べについては、即時に取り調べられるものに限られています。
2.柔軟な判決内容
効果的な解決という点で、判決にも特色があります。
民事訴訟では、判決が出た場合、一括での支払いを命じられることが通常ですが、少額訴訟では、判決の言渡しの日から3年を超えない範囲内において、
- 支払時期の定め、
- 分割払いの定め、またはこれと併せて
- これらの定めに従って支払いをしたときは訴え提起後の遅延損害金の支払義務を免除する定め
をすることができるとされています。
3.民事訴訟手続きへの移行
簡易迅速な審理について、被告として同意できない場合には、通常手続への移行を求める申述を行うことができます。それにより、通常の民事訴訟手続に移行します。
4.異議の申立てができる
判決について不服があれば、2週間以内に異議を申し立てることができます。
その場合、少額異議訴訟となりますが、少額異議訴訟の判決は、言渡しと同時に確定しますので、これに対して不服申立てをすることは原則としてできません。
少額訴訟も通常訴訟と同様に裁判所の手続きです
通常訴訟に比べて簡易な点もありますが、少額訴訟も通常訴訟と同様に裁判所の手続きですので、利用には十分な検討と対応が必要です。
実際に利用を検討する場合には、弁護士にご相談ください。
支払督促とは|少額訴訟との違い
支払督促とは、債権者の申立てのみで、金銭給付の債務名義が作成される手続のことをいいます。債権者が簡易迅速に債務名義を取得することを可能にするために督促手続が設けられています。
督促手続は、簡易迅速な債務名義の取得を可能とするという趣旨においては少額訴訟とも共通します。
もっとも、「請求できる金額」について、督促手続においては特に限定がないのに対して、少額訴訟では60万円以下という限定があります。
また、「1年に利用できる回数」について、督促手続では特に限定がありませんが、少額訴訟では10回という制限があります。
支払督促手続きの流れ
1.支払督促の申立て
債務者の普通裁判籍を管轄する簡易裁判所に支払督促の申立てをします。
裁判所書記官は、適法であり、理由のある申立ての場合、支払督促を発付します。
2.支払督促が債務者に送達
裁判所から、支払督促が債務者に送達されます。
3.(異議申立てがある場合)民事訴訟に移行
債務者が異議を述べた場合には、支払督促は失効し、その申立て時に訴えの提起があったものとみなされ、民事訴訟に移行します。
4.(異議申立てがない場合)仮執行の宣言
支払督促の債務者への送達後2週間以内に、債務者から異議の申立てがない場合、債権者の申立てによって、当該支払督促の原本に仮執行の宣言が記載されます。
仮執行の宣言の申立て期間は30日間です。その期間内に申立てをしなければ、支払督促は失効します。
5.強制執行が可能となる
仮執行宣言付支払督促が債務者に送達されると執行力が生じます。
もっとも、債務者へ仮執行宣言付支払督促が送達されてから2週間以内に、債務者の異議があると、支払督促の申立て時に訴えの提起があったものとみなされ、民事訴訟に移行します。
支払督促は、督促したい相手から異議が出ないと見込まれる場合には短期間で債務名義を取得することができるため、効果的な手続になると思われます。
実際に利用をご検討の場合は、お気軽にご相談ください。
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