公開日:2020.04.30 最終更新日:2021.10.01
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遺産分割の手続 -遺言、遺産分割協議、遺産分割調停、遺産分割審判-
【本記事の監修】 弁護士法人桑原法律事務所 弁護士 桑原貴洋 (代表/福岡オフィス所長)
- 保有資格: 弁護士・MBA(経営学修士)・税理士・家族信託専門士
- 略歴: 1998年弁護士登録。福岡県弁護士会所属。
日本弁護士連合会 理事、九州弁護士会連合会 理事、佐賀県弁護士会 会長などを歴任。
目次CONTENTS
相続人間で遺産分割をする場合の手続には、① 遺言による遺産分割方法の指定、② 遺産分割協議、③ 遺産分割調停、④ 遺産分割審判があります。以下で詳しく解説いたします。
① 遺言による遺産分割方法の指定
まず、被相続人が遺言書で遺産分割の方法を具体的に指定している場合には、相続人は原則として、その遺言のとおりに遺産分割をすることになります。
もっとも、遺言書がある場合であっても、「遺言が無効である場合」や「相続人全員が遺言の内容を把握した上で、別の遺産分割方法で合意をした場合」は、その遺言の通りに遺産分割をする必要はありません。
遺言が無効である場合
遺言の方式に不備がある場合や、被相続人の判断能力が低下しており、遺言をする能力がないと判断される場合等に、遺言は無効になります。遺言が無効になった場合、遺言の通りに遺産分割をする必要はありません。
別の遺産分割方法で合意した(遺産分割協議をした)場合
相続人全員が遺言の内容を把握をした上で、別の遺産分割方法で合意をした場合には、遺言の通りに遺産分割をする必要はなく、別の遺産分割方法で分割することとなります。
ただし、遺言書で財産を相続人以外の第三者に遺贈することが書かれている場合には、別の遺産分割方法で合意をしても、その財産は当該第三者が取得したものとなります。
② 遺産分割協議
相続人全員で合意をして、分割方法を定める方法です。遺産のうち、プラスの財産(積極財産)については、相続人全員の合意があれば、自由に分割方法を定めることができます。
もっとも、マイナスの財産(消極財産)については、債権者の承諾がない限り、相続によって各相続人に法定相続分に応じて当然に分割されて承継されると考えられているので、相続人全員の合意だけで自由に分割方法を定めることはできません。
なお、遺産分割の協議により遺産分割を行う場合には、後々もめないように遺産分割協議書を作成することをおすすめします。
③ 遺産分割調停
家庭裁判所に遺産分割調停の申立てをし、調停の中で遺産分割の方法について、話し合いを進めます。話し合いで遺産分割の方法について話し合いがまとまった場合、そのまとまった内容で分割方法が定まることになります。
④ 遺産分割審判
遺産分割調停で話し合いがまとまらなかった場合、調停は不成立として終了し、裁判官が一切の事情を考慮して審判をし、遺産分割の方法について結論を出すことになります。
相続問題の予防策 -生前対策のすすめ-
ひと1人が亡くなった際、悲しいことに、しばしば、その人の財産の分け方に関して揉めることがあります。自分が死ぬ前にできる予防策の代表的なものとしては、遺言、家族信託などがあります。「相続問題を未然に防ぎたい」「自分の死後の財産を特定の人に取得してほしい」という方は、ぜひ検討しておきましょう。
「自分が亡くなった後は、いま面倒を見てくれているこの人が自分の財産を取得するだろう」「誰も文句は言わないはずだ」「仲良く分配してくれるだろう」なんて思っていても・・・
“ 人は人の思い通りに動かないもの ”と言いますが、被相続人の意思や予想に反して問題が大きくなり、もし生前にご相談があれば簡単に防げた問題なのに…と感じることもよくあります。
生前対策が十分でない場合には、相続人の間で、どのように財産を分けるかを話し合う「遺産分割協議」が必要です。相続人の立場からは、「家族で揉めるのも嫌だし、遺産分割協議はせずに放っておこう」という考え方もあるでしょう。
ただし、不動産がある場合などには特に、単なる問題の後回しとなってしまい、後世の子孫、親類たちに、より大きな負担となって受け継がれていきます。
相続問題や生前対策についてご相談ください
相続問題や遺産分割、生前対策にお悩みの方は、当事務所の弁護士までお気軽にご相談ください。相続問題については、無料相談(初回30分)を承っております。
問題が起きてからの弁護士相談だけではなく、問題を生じさせないための弁護士相談もおすすめいたします。
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