公開日:2020.05.11 最終更新日:2022.06.03
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就業規則の作成|労働者が10人以下の会社は必要?|弁護士が解説
【本記事の監修】 弁護士法人桑原法律事務所 弁護士 桑原貴洋 (代表/福岡オフィス所長)
- 保有資格: 弁護士・MBA(経営学修士)・税理士・家族信託専門士
- 略歴: 1998年弁護士登録。福岡県弁護士会所属。
日本弁護士連合会 理事、九州弁護士会連合会 理事、佐賀県弁護士会 会長などを歴任。
目次CONTENTS
会社に合った就業規則を作成していますか?就業規則を作成・整備することは、様々な労務トラブルを未然に防止するとともに、労働者が安心して働ける職場づくりにもつながります。
働き方改革関連法の施行に伴い、企業によっては就業規則の見直しが必要な場合もあります。
会社の労務管理上、就業規則は作成されるべきものですが、なぜ重要なのでしょうか。
Q.就業規則はどうして作成しなければならないのですか?
就業規則は、労務の統一的管理や危機管理への備えとして、極めて重要なものです。以下で詳しく解説します。
労務の統一的管理のツールとして
会社経営上、従業員に遵守してもらうべき事項は数多くあります。
また、企業の事業内容や規模が変化するとき、賃金や労働時間などの労務管理も柔軟に変化する必要があります。こうした変化について、一人一人と個別交渉を行うのは困難です。ここで、就業規則の存在が重要な意味を持ちます。
就業規則は、労働者への周知が行われ、かつ内容が合理的であれば、労働契約の内容となります。また、就業規則の変更は、その内容が合理的なものである限り、個々の従業員に対する拘束力を持ちます。
逆にいえば、就業規則が適切に定められていなければ、職務規律も、労働条件も、契約内容になっていないと判断される可能性があります。
危機管理への備えとして
労務管理上、従業員の不祥事や問題行動などの「不祥事リスク」から目を背けることはできません。こうした場合に企業がその対応を誤れば、取引先や消費者からの信頼を一挙に失い、取り返しのつかない事態になりかねません。
企業としての誠意を示し信頼を保持するためには、場合によっては懲戒処分を検討しなければなりません。しかしながら、懲戒処分を行うためには、前提として就業規則に懲戒処分の事由及び種類が定められていることが必要です
また、就業規則については、遡って適用することができないとされているため、問題行動後に慌てて就業規則を改定しても遅いのです。無理に懲戒処分を課した結果その効力が争われ、企業が会社の命運を左右するほどの賠償を命じられることさえあり得ます。
Q.労働者10人以下の会社にも就業規則は必要ですか?
A. 労働者10人以下の会社でも、就業規則を作ったほうがよいでしょう。
就業規則とは、労働者の労働条件を規律する準則のことをいいます。
労働基準法は、「常時10人以上の労働者を使用する使用者」に対し就業規則の作成義務を課した上で(労働基準法89条)、周知義務を課しています(労働基準法106条1項)。
労働者10人以下の会社でも、就業規則は作ったほうがよいでしょう。
なぜなら、就業規則は労使間でトラブルが起こった際の拠り所となるものであり、就業規則がなければ、労使間でトラブルが起きたときに拠り所となるものがないことになるためです。
トラブルになったときに拠り所がなければ、問題を一般常識に照らして考えなければなりませんが、一般常識などは人によって千差万別であり、規範としてあってないようなものですから、そのような規範を拠り所として問題を解決しようとしても解決は遠のくばかりです。
このように就業規則がなければ、小さい問題が大きくなるばかりか、起こる必要のない問題をひき起こすことにもつながります。そのようなトラブル解決に時間を割くことになるなら、作成に際して多少時間はかかりますが、就業規則の作成に時間を割いたほうがよいでしょう。
就業規則について弁護士法人桑原法律事務所に相談できること
就業規則は法令に合わせて、定期的に見直すことが大切です。当事務所でも就業規則の作成に関するアドバイスを承っておりますので、お気軽にご相談ください。
以下のような場合は、ぜひご相談ください。
- 就業規則を改定したいが、どうすればよいか分からない
- 簡単な就業規則しかなく、労務トラブルを防げるのか心配
- 何年も前に作ったまま、その後の法改正に対応していない
- 就業規則を改定すべきなのか分からない
- モデル就業規則をそのまま使用している
- 就業規則と会社の実態が異なる
- 社員が10人を超えているが、就業規則がない
- その他、社労士などの協力者を紹介してほしい
内容が不十分な就業規則であれば、ないも同然ですので、作成済みの就業規則に関して自信がない方も、就業規則のチェックのご相談にいらしてください。
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