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法律コラム

公開日:2019.10.18 最終更新日:2022.07.01

CASE

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逮捕された従業員を解雇できる?

目次CONTENTS

従業員が逮捕されてしまった場合、企業としては、「一刻も早く解雇したい」と思われるかもしれません。従業員が逮捕されたら、懲戒解雇処分としても問題ないのでしょうか。ご相談事例をもとに、桑原法律事務所の弁護士が解説いたします。

逮捕された従業員を解雇してもよい?:まずは事実関係の調査を

この点、逮捕されたからといって、犯罪行為を行ったと決まったわけではなく、そもそも私生活上で犯罪行為をしたからといって解雇できるとも限りません。

仮に事情を把握することなく解雇してしまった場合、後に解雇の効力を争われるおそれがあり、解雇無効及び当該期間の未払賃金の支払という負担を負う可能性もあります。

このように、逮捕されたとの事実のみをもって解雇することには大きなリスクがあり、決しておすすめできません。まずは、逮捕された従業員と面会するなどして、十分な事実関係の調査に努めるべきでしょう。

私生活上の非行を理由に懲戒解雇できるかはケースバイケース

使用者は、企業秩序を定立し、維持する権限を持つとされており、その一環として、一定の条件下では懲戒権を行使することができるとされています。

それでは、以下のようなケースで懲戒解雇とすることもできるのでしょうか。

ご相談
先日、従業員が居酒屋で泥酔し、店員を殴って警察に逮捕されてしまいました。その後起訴され、罰金刑となりました。犯罪者を従業員のままにしておくわけにはいきません。我が社の就業規則には、懲戒解雇事由として「私生活上の非行により有罪判決を受けたもの」というものがあります。懲戒解雇としても問題ないでしょうか。

飲みの席での暴行ですので「私生活上の非行」とはいえそうです。また、これにより罰金刑の「有罪判決」を受けてもいます。よって、「就業規則に定める懲戒解雇事由に該当するので、懲戒解雇として特に問題ない」と考えることもできそうです。

もっとも、場合によってはそう簡単ではありません。というのも、懲戒権は先に述べたとおり企業秩序の維持のための権限です。

私生活上の非行が直ちに企業秩序を乱すことにつながるかというと、つながる場合もあればつながらない場合もあるといったところかと思います。

つながらないような場合にまで懲戒解雇としてしまうと、のちに「当該解雇が無効と判断されてしまう」、「解雇後無効と判断されるまでの間Aは働いていないのに働いていたものとして給料を支払わないといけなくなる」…ということになりかねません。

実際に、無効と判断した裁判例も数多く存在します。ですので、ぜひとも慎重な判断をなさることをお勧めいたします。

弁護士への相談、情報収集などの依頼も一つの手段

仮に、企業として対応が難しい場合は、弁護士に依頼して接見に行ってもらい、情報収集するのも一つの手段といえるでしょう。

また、懲戒解雇手続の実施、その際の退職金の支払義務の有無など、企業の就業規則の定めによって、様々な問題が派生して生じることが想定されます。

したがって、従業員が逮捕された場合の対応については、弁護士にご相談の上、就業規則を的確に参照しながら、慎重に対応することが肝心であるといえます。

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※本記事は、公開日時点の法律や情報をもとに執筆しております。