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LEGAL COLUMN

法律コラム

公開日:2020.09.15

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会社法改正 -株主総会、取締役、社債の管理等-

目次CONTENTS

令和元年12月4日に、会社法の一部を改正する法律(令和元年法律第70号)が成立しました。同法は、公布日である2019年12月11日から起算して1年6ヵ月を超えない範囲内において政令で定める日から施行されます(会社法改正法附則第1条本文)

今回の改正内容は、大きく3つの分野に分けられます。

  1.  株主総会に関するもの
  2.  取締役等に関するもの
  3.  社債の管理等に関するもの

以下で、詳しく解説していきます。

1 株主総会に関するもの

① 株主総会資料の電子提供制度の創設

現行法では、インターネット等を用いて株主総会資料を株主に提供するためには、株主の個別の承諾が必要です。
改正法では、ウェブサイトに株主総会資料を掲載し、株主に対してそのアドレス等を書面で通知することにより、株主総会資料を株主に提供できるようになりました。

② 株主提案権の濫用的な行使を制限するための措置の整備

現行法では株主が提案できる議案の数に制限がなく、濫用的な事例も散見されました。
改正法では、株主が提案できる議案の数を10までとする上限が設けられました。

2 取締役等に関するもの

① 取締役の報酬

(1)上場会社等において、取締役の個人別の報酬の内容が株主総会等で決定されない場合には、取締役会は、報酬の決定方針を定め、その概要等を開示するものとされました。

(2)取締役の報酬として株式等を付与する場合の株主総会の決議事項に、株式等の数の上限等を加えるものとされました。

(3)上場会社が取締役の報酬として株式を発行する場合には、出資の履行を要しないものとされました。

(4)事業報告による情報開示を充実させることになりました。

② 会社補償・役員等賠償責任保険契約に関する規定の整備

株式会社が会社補償をするために必要な手続き規定、会社補償をすることができる費用等の範囲に関する規定、株式会社が役員等を被保険者とする会社役員賠償責任保険(D&O保険)に加入するために必要な手続規定が設けられました。

③ 社外取締役に関するもの

(1)現行法上、社外取締役が業務を執行した場合には社外性を失う(社外取締役の要件(会社法2条15号)を充たさない)とされています。
改正法では、株式会社と取締役との利益相反状況がある場合等において、取締役会が社外取締役に対して業務執行を委託できるものとされました。

(2)ガバナンス強化のため、上場会社等は社外取締役を置かなければならないものとされました。

3 社債の管理等に関するもの

① 社債管理者制度の創設

現行法では、社債管理者の権限が広範であり、かつ資格要件が厳格であるため、設置コストが高く、社債管理者の確保が難しいという現状がありました。
改正法では、社債管理者よりも責任と権限が限定された社債管理補助者が創設されました。社債管理補助者には弁護士及び弁護士法人等が想定されているようです。

② 社債権者集会

現行法では、社債権者集会の決議により、社債に係る債務の全部または一部の免除ができるか不明確でしたが、改正法ではこれを明確化しました。
また、社債権者集会での提案につき、議決権者の全員が書面または電磁的記録により同意の意思表示をしたときは、当該提案を可決する旨の社債権者集会の決議があったものとみなすこととし、かつ、その場合には社債権者集会の決議についての裁判所の認可を受ける事を要しないとされました。

さいごに

会社法の改正に関して疑問点などございましたら、当事務所の弁護士へお気軽にご相談ください。

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※本記事は、公開日時点の法律や情報をもとに執筆しております。