公開日:2020.10.13
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従業員の募集・面接・採用にあたり、してはならない質問とは?
【本記事の監修】 弁護士法人桑原法律事務所 弁護士 桑原貴洋 (代表/福岡オフィス所長)
- 保有資格: 弁護士・MBA(経営学修士)・税理士・家族信託専門士
- 略歴: 1998年弁護士登録。福岡県弁護士会所属。
日本弁護士連合会 理事、九州弁護士会連合会 理事、佐賀県弁護士会 会長などを歴任。
目次CONTENTS
企業が従業員を募集・採用するにあたって、してはならない質問はあるのでしょうか。桑原法律事務所の弁護士が解説いたします。
面接の質問は原則自由だが、例外あり
企業には、採用にあたり調査の自由が認められており、採用面接時の応募者への質問については、原則として自由です。
ただし、いかなる質問も無制限に許容されるものではなく、応募者の人格的尊厳やプライバシーとの関係で、一定の制約に服することになります。
質問内容によっては不法行為(民法709条)が成立し、慰謝料支払いの対象になる可能性がありますので、注意しましょう。
思想・信条や疾病に関する質問は問題となりえる
具体的には、思想・信条に関わる質問や、疾病に関する質問などが問題となりえます。
たとえば、「労働者の思想・信条を調査し、そのためその者からこれらに関連する事項についての申告を求めること」は企業の自由とされています(三菱樹脂事件:最高裁判決昭和48年12月12日。民集27巻11号1536頁)。
しかし、職業安定法48条に基づき厚生労働大臣が公表する指針によれば、「思想及び信条」については「特別な職業上の必要性が存在することその他業務の目的の達成に必要不可欠であって、収集目的を示して本人から収集する場合」を除いては収集してはならないと定められています。
このように、一定の質問に対し、一定の制約が存在することは間違いないと思われます。
その他、してはならない質問の例
その他にも、既往症、負債、交際相手の有無や、家族の健康状態、職業等についても、個人のプライバシーに深く関連する事項であるため、このような質問が許されるか否かは職業上の必要性及び業務の目的達成のために不可欠かといった観点から都度判断されると思われます。
採用面接の質問には十分注意しましょう
以上のように、採用面接における質問であっても、慰謝料支払の対象になりうることを意識し、業務と関連の薄いプライベートな質問は避けるのが無難でしょう。
参考文献: [改訂版] 企業のための労働契約の法律相談/青林書院/下井隆史・松下守男・渡邊徹・木村一成 編
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