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LEGAL COLUMN

法律コラム

公開日:2015.03.05

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会社法改正 -監査役の監査の範囲に関する登記、社外役員の資格要件、多重代表訴訟-

目次CONTENTS

平成26年6月に会社法の一部を改正する法律が成立しました。同法は平成27年4月ころに施行される予定です。

監査役の監査の範囲に関する登記

株式会社は、定款で定めることにより監査役を置くことができ(会社法326条2項)、また、定款の定めによりその監査の範囲を会計に関するものに限定することができます(会社法389条1項)

このように、定款で監査役の監査の範囲を会計に関するものに限定している株式会社は、今回の改正によって、その旨の登記をすることが必要になりました(会社法911条3項17号イ)。改正の理由は、監査の範囲が限定されている会社とそうでない監査役とで、会社法上の規律が異なるため、登記で明らかにする必要があるからです。

たとえば、会社が取締役に対して訴えを提起する場合、監査の範囲が限定されている場合は取締役が被告になりますが、そうでない場合は監査役が被告になります(会社法379条7項、386条1項1号、349条1項)。このような場合に登記上で判断ができないと、定款を調べなければならなくなり、事務処理が煩雑になってしまいますので、今回の改正が行われました。

社外役員の資格要件

前回は、監査役に関する登記について取り上げました。
今回は、社外役員(社外取締役及び社外監査役)の改正について取り上げます。

現行法では、社外取締役の場合、

  1. 当該株式会社又はその子会社の業務執行取締役若しくは執行役又は支配人その他の使用人ではなく、
    かつ、
  2. 過去に当該株式会社又はその子会社の業務執行取締役若しくは執行役又は支配人その他の使用人になったことがない者

とされています(現行会社法第2条第15号)

しかし、改正法では、要件が厳格化され、以下の要件が追加されました(概要です)。

  1. 当該会社の親会社等又は兄弟会社(親会社等の子会社等)の関係者でないこと
  2. 当該会社の関係者の配偶者又は2親等内の親族でないこと

したがって、親会社の取締役が子会社の社外取締役に就任することは①に抵触しますし、取締役のお子さんを社外取締役に就任させることも②に抵触します。

同族経営が多い中小企業の方々には注意すべき改正といえるでしょう。

多重代表訴訟

親会社が100%出資している子会社がある場合、その子会社の役員に対し、親会社の株主が、株主代表訴訟を提起できるようになりました。これを、多重代表訴訟といいます。

これは、純粋持株会社が増加しているため、親会社株主の権利を強化する趣旨で設けられたものです。

以下は、要件です。

  1. 親会社が100%株式を有している子会社であること
  2. その子会社が親会社の総資産の5分の1以上を有していること
  3. 当該株主が親会社の総議決権または発行済株式の1%以上を保有していること
  4. 当該株主が3の株式を継続して1か月以上保有していること(公開会社の場合)

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※本記事は、公開日時点の法律や情報をもとに執筆しております。