公開日:2021.11.22 最終更新日:2022.05.02
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アイデアに著作権は認められる?|弁護士が解説
【本記事の監修】 弁護士法人桑原法律事務所 弁護士 桑原貴洋 (代表/福岡オフィス所長)
- 保有資格: 弁護士・MBA(経営学修士)・税理士・家族信託専門士
- 略歴: 1998年弁護士登録。福岡県弁護士会所属。
日本弁護士連合会 理事、九州弁護士会連合会 理事、佐賀県弁護士会 会長などを歴任。
目次CONTENTS
著作権法により法的に保護されるためには、その対象が「著作物」等にあたる必要があります。よいアイデアを思い付いた場合、アイデアは「著作物」といえるのでしょうか。桑原法律事務所の弁護士が解説いたします。
アイデアが著作物といえるためには
著作権法では「著作物」を「思想又は感情を創作的に表現したものであって、文芸、学術、美術又は音楽の範囲に属するものをいう。」と定義しています(著作権法第2条1号)。すなわち、「表現」したものであることが「著作物」といえるためには必要となるのです。
「アイデア」とは、小学館発行の大辞泉によれば、「思いつき」「新奇な工夫」「着想」または「観念」「理念」などと説明されています。いずれの意味においても表現される前の概念的なものという意味合いにとどまり、「アイデア」=「表現」には当たらないでしょう。
ただし、実際にはどこまでが「アイデア」であり、どこからが「表現」なのかを線引きすることは必ずしも容易ではありません。
ドラマの企画を例に、アイデアと表現について考えてみましょう
ストーリーの展開や登場人物の設定などが対象作品と類似していたとしても、それは「アイデア」の範囲にとどまります。
「高学歴な派遣社員だった女性が派遣切りに遭い、人見知りの男性とのあいだで契約結婚をしたものの、徐々に本当の恋愛感情が芽生えてくる」といったストーリーのドラマはアイデアであり、「表現」ではありません。
これはもちろん、「逃げるは恥だが役に立つ(逃げ恥)」のことですが、「逃げ恥」のセリフの台本はドラマのストーリーを「表現」したものといえます。
しかし、セリフや演出をどこまで「逃げ恥」に一致させれば「アイデア」から「表現」に変わるのか、その限界にはっきりした境界はありません。
アイデアは「表現」する必要がある
アイデアそのものを保護することは著作権法上、想定されていませんので、「アイデアを形にする」つまり「表現」することが求められます。
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※本記事は、公開日時点の法律や情報をもとに執筆しております。