公開日:2022.03.15
CASE
- 犯罪被害者支援の解決事例
店舗の客からSNSに虚偽の事実を投稿された被害者の方に、刑事告訴のサポートを行った事例

【本記事の監修】 福岡の弁護士 弁護士法人桑原法律事務所 弁護士 桑原貴洋 (代表/福岡オフィス所長)
- 保有資格: 弁護士・MBA(経営学修士)・税理士・家族信託専門士
- 略歴: 1998年弁護士登録。福岡県弁護士会所属。
日本弁護士連合会 理事、九州弁護士会連合会 理事、佐賀県弁護士会 会長などを歴任。
目次CONTENTS
事案の概要
- 事案の種類:ネット中傷
- 手続き(解決方法):刑事告訴(信用毀損)
相談までの経緯
店舗を経営していた相談者の方が、ある客とトラブルになりました。そのトラブルをきっかけに、SNS上で炎上し、不特定多数人から「あいつは窃盗や脅迫をしている」「仕入れにもお金を払っていない」等と、元々のトラブルとはまったく関係ない、虚偽の事実を次々に投稿されるようになりました。
その中には、相談者の実名を出すなどして、一際ひどく中傷するアカウントがありました。そのアカウントの使用者は、相談者の店舗のかつての客であり、相談者と顔見知りでした。
相談者は、まず市役所相談の弁護士に相談しましたが、誹謗中傷をするアカウントの使用者は容易に特定できないと言われ、まったく相手にされなかったということでした。
その後、相談者は、自身で警察署に相談をしに行きましたが、警察署でもアカウントの使用者が分からない以上、受け付けられないと、まったく相手にされなかったということでした。
相談者は本当にどうにもできないのか、別の弁護士に相談することにし、当事務所の無料電話相談に予約をされました。
弁護士の活動
弁護士が、「なぜその誹謗中傷をしているアカウントが、かつての客が利用しているものと特定できたのか」と相談者に尋ねたところ、「相手方が相談者に直接アカウントを教えてきたことがあった」「そのアカウントの投稿の中に、相手方の実名が出ている」「そのアカウントに、相手方の顔写真がたくさん投稿されている」とのことでした。
通常のネット中傷の事案では、プロバイダに発信者情報開示請求等をして、誹謗中傷をしているアカウントの使用者を特定する必要があるのですが、本件は、そこまでしなくてもすでにほぼ特定されていると考えました。
そこで弁護士は、刑事告訴で依頼を受け、誹謗中傷をしているアカウントの使用者がすでにほぼ特定されていることを詳細に書いた告訴状を作成して、依頼人と一緒に警察署まで提出しに行きました。
結果
警察署は、告訴状を受理しました。
その後、警察が相手方の携帯電話を押収し、その携帯電話で相手方がそのアカウントを使用していることがはっきりと明らかになったそうです。
相手方は信用毀損罪で起訴され、刑罰を受けるに至りました。