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法律コラム

公開日:2022.05.11

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試用期間に解雇したい | 「能力不足」理由はOK? | 弁護士が解説

目次CONTENTS

従業員を採用する際に試用期間を設ける企業は多いでしょう。通常の雇用になる前の状態は、会社側にとって「辞めさせやすい」のでしょうか。企業法務に精通する福岡・佐賀の弁護士法人 桑原法律事務所の弁護士が解説します。

試用期間とは

労働法上には「試用期間」についての明確な定めはありません。企業が雇用にあたり、採用した人の資質や適性を確かめるために取り入れている仕組みです。

労働契約での試用期間は通常、「解約権が留保された試用期間」と解されています。「解約権の留保」とは、本採用するかどうかの最終決定を先延ばしにすることです。

試用期間でも労働時間や最低賃金、労働保険(労災保険や雇用保険)や社会保険(厚生年金、健康保険)などは、通常の労働者と同様のルールが初日から適用されます。

試用期間の有無や期間については、求人時に明記するのが原則です。業務は試用期間の終了後にする内容ではなく、試用中にすべき仕事を明記します。

試用期間の長さについて法的な定めはありませんが、一般的には1~6か月です。1年を超えるなど長すぎると、民法の公序良俗に反するとして、無効になった裁判例(ブラザー工業事件)もあります。

試用期間は解雇しやすいですか?問題はありますか?

試用期間中の「解雇」とは、留保していた解約権(留保解約権)の行使に当たります。裁判例では留保の趣旨からみて、本採用後よりは解雇が認められやすいと判断されています。

なお雇用して14日以内であれば「解雇は30日以上前までに予告」との決まり(労働基準法20条)は適用されません。14日を過ぎると適用されます。

14日を過ぎても、予告すれば自由に解雇できるというわけではありません。「試用期間中だから」という理由だけで、簡単に解雇できません。試用期間と言っても雇用契約が成立している状態です。

合理的な理由がなく、社会通念上相当でなければ「解雇権の濫用」として解雇は無効になります(労働契約法16条)。

予告のない解雇の場合、会社は30日分以上の平均賃金(解雇予告手当)を支払う義務があります。

試用期間中の解雇が有効とされた判決例

採用時には知りえない事実が分かり、本採用しないと判断したことに客観的な合理性があれば、解雇が相当であるとされます。

解雇が有効と判定されたケースは下記などです。

  • 周囲とのトラブルが絶えなかった労働者が、就業規則にある解雇事由「就業態度が著しく不良で他に配置転換の見込みがないと認めたとき」に該当(雅叙園観光事件、東京地裁・1985年)
  • ①緊急の業務指示に速やかに応じない②面接でパソコン使用に精通していると述べていたのに満足にできない③代表取締役の業務上の指示に応じない(ブレーンベース事件、東京地裁・2001年)
  • シニアマネージャーとして高い能力の発揮が求められていたが、十分な時間をかけて指導したのに単純作業を適切にできないなど基本的な業務遂行能力が乏しく、管理職としての適格性に疑問を抱かせる態度もあり、事業の規模から配置転換も困難であるなどから解雇が有効とされた(キングスオート事件、東京地裁・2015年)

試用期間中の解雇が無効とされた裁判例

解雇が無効とされた裁判例は下記などです。

  • 会長に声を出してあいさつしなかった」という解雇理由は、社会通念上相当性を欠く
    (テーダブルジェー事件、東京地裁・2001年)
  • 証券営業マンの成績不振を理由とした解雇に対し、わずか3か月の手数料収入のみで資質などが従業員として適格でないとは認めることはできない(ニュース証券事件、東京地裁・2009年)
  • 年俸1300万円で採用した部長を、業務の速やかさに欠け、会社の方針に合わないとして2カ月余で本採用を拒否。これに対し判決は、業務遂行の状況は不良とはいえず、たとえ能力が期待通りでなかったとしても、2か月で職責を果たすことは困難とした(オープンタイドジャパン事件・東京地裁、2002年)

試用期間中に「能力不足」で解雇できますか?

能力不足による解雇が有効かどうか、上記の通り事案によって裁判所の判断は異なります

前述の通り試用期間中であっても解雇には制限があり、「能力不足」だからといって自由に解雇はできません。

能力や適性などを理由にした解雇が認められるには、以下の点などが問われます。

  • 経営に影響を及ぼすような著しい成績不良
  • 客観的で合理的な評価
  • 教育や訓練が十分だったか
  • 能力が発揮できる替わりの職場はなかったか

試用期間の延長は可能ですか?

正社員として採用されました。3か月の試用期間が満了になる2週間前、「試用期間を1か月延長します」と言われました。就業規則では試用期間に「総合的に判断して本採用の有無を決定する。試用期間は延長することがある」とあります。

適性を判断するのに合理的な期間を越えて試用するのは、前述した通り公序良俗に反する可能性があります。

試用期間を延長する場合は、以下の点に注意が必要です。

  • 就業規則に定めている
  • 合理的な理由があるか
  • 延長期間が社会通念上妥当な長さであるか
  • 試用期間満了前に告知しているか

試用期間中のトラブルでお困りの方は弁護士にご相談ください。

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