公開日:2022.05.27
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「運航管理者」と「運行管理者」 | 海・空・陸で違い | 弁護士が解説
【本記事の監修】 弁護士法人桑原法律事務所 弁護士 桑原貴洋 (代表/福岡オフィス所長)
- 保有資格: 弁護士・MBA(経営学修士)・税理士・家族信託専門士
- 略歴: 1998年弁護士登録。福岡県弁護士会所属。
日本弁護士連合会 理事、九州弁護士会連合会 理事、佐賀県弁護士会 会長などを歴任。
目次CONTENTS
北海道・知床沖で遊覧船が2022年4月、沈没した事故をめぐって「運航管理者」の役割に注目が集まっています。
運航管理者とは、天候や海の状況などを確かめて船の運航を管理する責任者で、国交省に届ける必要があります。同じような役割は空・陸の交通にもあり、トラックやバス、タクシー業には「運行管理者」に関する定めがあります。いずれの業者も適切な設置や運用が求められます。福岡・佐賀の弁護士法人 桑原法律事務所の弁護士が解説します。
船舶の「運航管理者」は試験なし
一般的にいう「運航管理者」には、海上運送法で定められた船舶の「運航管理者」と、航空法で定められた航空機の「運航管理者」があります。
船舶の場合は気象や海象などの情報をつかみ、安全な運航ができるよう管理します。
運航管理者になれるのは、下記のいずれかの要件を満たした人です。資格試験はありません。
- 船長として3年以上、または甲板員として5年以上の経験
- 運航管理の実務経験が3年以上
- 地方運輸局長が上記2例と同等以上の能力があると認めた場合
詳しくはこちら(海上運送法施行規則 第七条の二の三 運航管理者の要件)
勤務体制は主に以下の通りです。(国交省の通達より)
- 原則として運航管理者と船長は別人
- 100トン未満の船舶1隻だけなら船長と兼務可能
- 運航管理者の補助者は必ず選任
- 船の運航中は、原則として運航管理者が勤務
- 運航管理者が職場を離れるときは、補助者と連絡できる体制
知床沖での沈没事故では、運航管理者も補助者もいない状態での運航など、不備があった可能性があると報道されています。
航空機の運航管理者:国家試験あり
航空機の運航管理者は「ディスパッチャー」とも呼ばれます。航空会社で機体や乗客、天候などの状況を確認し、安全な飛行計画を作ります。
運航管理者になるには国家試験である「運航管理者技能試験」に合格しなければなりません。学科と実地の試験があります。
運航管理者技能検定を受験できるのは、航空の実務経験がある人です。
勤務体制は主に下記の通りです。
- 目的地までの運航にかかわる情報を分析し、最も安全で効率のよい飛行コースや高度などを決定して、飛行計画の作成をするのに十分な時間
- 航空機が離陸して到着するか、他の運航管理者に業務を引き継ぐまで
運行管理者:トラック・バス・タクシーなど
「運行管理者」は道路運送法、貨物自動車運送事業法で定められています。陸上の輸送(トラック・バス・タクシーなど)の安全を管理する人です。
スムーズに物や人を運ぶための行程を管理したり、運転手に助言したりします。
運行管理者になるには:試験か実務経験か
運行管理者になるためには、国家資格に合格し、「運行管理者資格者証」の交付を受ける必要があります。試験には旅客と貨物の2種類があります。
資格者証を取るためには、下記の2つの方法があります。
- 公益財団法人 運行管理者試験センターが実施する試験に合格する
試験を受けられるのは運行管理の実務経験が1年以上ある人か、講習認定機関が行う基礎講習を修了した人です。
2021年第2回試験の合格率は貨物が32.3%、旅客が34.5%でした。
- 運行管理に関して5年以上の実務経験があり、運行管理についての講習を5回以上、受講済みなど
詳しくはこちら(国土交通省HP:自動車運送事業の運行管理者になるには)
運行管理者になると2年ごとに講習を受ける義務があります。
不幸な事故を起こさないためにも、安全体制をいま一度見直しましょう。コンプライアンス(法令遵守)の仕組みづくりでお悩みがあれば、ぜひ弁護士にご相談ください。
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