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法律コラム

公開日:2022.07.11

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  • 事業承継
  • 相続・高齢者問題

事業承継とは | 方法や流れ | 引継ぎ補助金も | 弁護士が解説

目次CONTENTS

会社の経営を後継者に引き継ぐ「事業承継(事業継承)」は、中小企業にとって大きな課題です。経営者の高齢化が進むなか、スムーズに「代替わり」するにはどうしたらよいでしょうか。企業法務に精通する福岡・佐賀の弁護士法人 桑原法律事務所の弁護士が解説します。

事業承継とは

事業承継/事業継承の現状とは

事業承継(しょうけい)とは企業の経営を次の世代が引き継ぎ、発展させる取り組みです。「事業継承(けいしょう)」も、ほぼ同じ意味で使われます。承継がスムーズにいかないと次世代に技術やノウハウを引き継ぐことが難しくなり、雇用を守ることもできません。

ところが、経営者の高齢化がすすむ一方で、後継ぎの確保ができず、廃業する事業者が増えています。

日本政策金融公庫総合研究所の調査によれば、中小企業の経営者のうち、52%が廃業を予定している(回答企業4759社)としています。

廃業する理由として挙げられたのは、主に下記です。

  • 「そもそもだれかに継いでもらいたいと思っていない」:43.2%
  • 「事業に将来性がない」:24.4%
  • 「子供がいない」「子供に継ぐ意思がない」「適当な後継者が見つからない」: 計29.0%

後継者不在により3割が廃業に

事業承継は家族内の問題と考え、だれに相談したらいいか分からず悩んでいる人もいます。

後継者がおらず廃業に追い込まれるのは3割近くとなっています。業績とは関係なく、中小企業が廃業の道を選ばざるを得ない現状があります。

親から子など親族内の承継は減る傾向にあります。事業の将来性への不安や、家業にとらわれない職業選びなど、子ども側の理由もあるとみられます。

中小企業庁の資料によれば、親族間の承継に替わって社員の昇格M&A(合併・買収)が増えています。

Q.会社を娘に継がせたい。注意すべきポイントは?

会社を娘に継がせたい。注意すべきポイントは?

A. 「親族間での承継」といえば、相続税対策だけではありません。家業の現状や将来への準備を含め、娘さんにとって「引き継ぐに値する企業であるか」をチェックする必要があります。

事業承継を行う前に、経営力を強め、子どもが安心して引き継ぐことができるよう準備を進めましょう。

スムーズに進めるためには、まず自らの引退時期を定めましょう。そこから逆算し、十分な準備期間を設け、計画を立てて実行します。

娘さんにとっては経営者保証などが課題となる可能性にも注意する必要があります。

株式や事業用資産については、贈与・相続によって引き継ぐ方法が一般に用いられています。資産によっては多額の贈与税・相続税が発生する可能性があります。

税負担を軽くするために株式資産を分散して承継すれば、承継後の経営が安定しなくなる恐れがあるでしょう。後継者には株式を集中させ、経営権を安定させる必要があります。

承継直後の後継者には資金力が不足していることも多く、場合によっては会社財産が後継者の納税資金になるケースもあります。

この場合、事業承継直後の会社に多額の負担が生じ、やはり大きな問題になりえます。

株式・事業用資産以外の個人財産の承継や、他の推定相続人との関係も視野に入れる必要があります。

Q.株式会社を営んでいる場合、何が問題になりますか?

株式会社のイメージ写真

A. 中小企業の場合、経営者自らが大口株主であることが多いでしょう。会社保有の資産の価値は株式に包含されるので、株式の承継が基本となります。

その一方、「代表取締役」という地位は、株主総会や取締役会決議で決められるため、法的には「承継」の問題とは言えません。

このほかに問題となりえるのは下記などです。

  • 代表者個人が法人に貸付けをしていた
  • 代表者個人に借入金があった
  • 不動産の貸借があった
  • 法人の負債のために個人保証をしていた

考えるべきポイントは専門的かつ多岐にわたります。そのため、資産の承継を考え始めたら、なるべく早く税理士や弁護士に相談したほうがよいでしょう。

Q.承継する会社に多額の借金があります。どうしたらよいでしょうか。

会社の負債のイメージ画像

A. 後継者が新会社を設立する方法があります。

債権者らの承諾のもと採算のよい事業は新会社に譲渡し、先代が経営する旧会社は業績が回復しなければいずれ倒産処理をするという流れです。

また、設立した新会社と旧会社とで業務提携契約を結び、少しずつ新会社が信用を得て取引先を拡大し、旧会社の取引先を徐々に縮小させていく方法もあります。取引先やその他の資産を順次承継していくことになります。

ただし、いずれにせよ債権者側に「計画倒産」とみなされ、訴えられるリスクと隣り合わせです。慎重な配慮のもとに進めていく必要があります。

Q.個人事業主で理容店を営んでいます。息子に後を継がせたいが、やるべき準備は?

個人事業主の理容店を息子に継がせたい。準備は?

A. 個人事業主の場合、お店や機械・設備を含めた資産、借金(負債)、信用(顧客や取引先)のいずれも、基本的には現在の経営者のものと考えられます。

親族内で承継する率も高く、中小企業庁の「小規模企業白書」(2019年)によれば、事業承継した個人事業主のうち、75%が子が継いでいます。

個人所有であれば、個々の資産を承継する必要があります。

もし経営者の死亡をきっかけに、息子さんの承継がスタートするのであれば、財産の名義変更や登記、債権者の同意など課題が多く、手続きには工夫が必要です。

お店が自宅を兼ねていれば、事業用だけでなく個人資産の承継も準備が必要です。

対応は、会社形態のケースと同様になります。ただし個人事業主の事業用資産が分散してしまうと、会社の株式が分散した場合より影響が大きくなります。

お店や器具が相続人間で共有になってしまうと、後継者は処分や業務転換など、一存ではできなくなるからです。

このような事態にならないよう、生前贈与や遺言を検討するとよいでしょう。

理容業は許認可による事業ですので、突然事業が継続できなくなるリスクもあります。

親族間の事業承継の流れ

親族間の事業承継の流れ

企業・個人事業主を問わず、事業承継のための準備の進め方は下記の通りです。

  1. 準備の必要性を認識する:60歳ぐらいになったら承継の準備を。
  2. 経営課題の見える化:現状を把握し、自社の強み・弱みを洗い出す。専門家や金融機関からのアドバイスが効率的。後継者候補選びも。相続財産を特定し、相続税額の試算や納税方法などの見当も。
  3. 承継をにらんだ経営改善:本業の競争力の強化、経費の削減、ブランドイメージ、顧客との関係の改善など。経営体制の点検も。
  4. 承継計画の策定:経営理念、方向性を再確認。旧新の経営者が一緒に、具体的な売上や利益、シェアといった指標ごとに目標を設定する。
  5. 事業承継

事業承継・引継ぎ補助金とは

事業承継・引継ぎ補助金とは

国の「事業承継・引継ぎ補助金」とは、代替わりをきっかけに新しい取り組みをしたり、事業再編・統合したりする中小企業や個人事業主を支援する制度です。

2021年度補正予算による公募は下記の通りです。

  • 経営革新:<Ⅰ型>創業支援型、<Ⅱ型>経営者交代型、<Ⅲ型>M&A型
  • 専門家活用:<Ⅰ型>買い手支援型、<Ⅱ型>売り手支援型
  • 廃業・再チャレンジ

事業承継・引継ぎ補助金について 詳しくはこちら

1次募集は締め切られましたが、4期間の設定があります。ウェブサイトで公表されるのでチェックしましょう。

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桑原法律事務所のスタッフ

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