MENU
お問合せ

LEGAL COLUMN

法律コラム

公開日:2021.12.21 最終更新日:2022.08.25

CASE

  • 法律コラム
  • 刑事事件

盗撮行為が職場に発覚したらどうなる?|弁護士が解説

目次CONTENTS

盗撮は犯罪ですので、盗撮を行い、そのことが職場に発覚したり、身柄拘束が長期化すると、職場から懲戒処分を受ける可能性があります。逮捕される前でも、早めに弁護士にご相談いただき、対応を検討されたほうがよいでしょう。盗撮により職場から受ける処分については、民間企業と公務員とで異なる部分があります。

民間企業の場合

民間企業では、懲戒処分を受ける事由については就業規則で定められています。したがって、職場から何かしらの懲戒処分を受けた、または受けるおそれがあるような場合、まずは就業規則を確認する必要があります。

就業規則の定めにより、当該懲戒処分の有効性を判断することになりますが、幅のある解釈ができるような場合には、有効性の判断が難しい場合もあります。

懲戒処分には、減給出勤停止懲戒解雇などがありますが、有罪判決を受けていない状態での懲戒解雇処分は、処分の相当性が問題になることが多いと考えられます。もっとも、起訴され、有罪判決を受けるような場合には、懲戒解雇が有効になる可能性もあります。

いずれにせよ、懲戒処分の有効性は、事案に応じて個別具体的に検討する必要があります。

就業規則の写真

公務員の場合

公務員の場合には、適用される法律に基づいて懲戒処分がなされる可能性があります。

例えば、国家公務員法においては、禁錮以上の刑に処せられた場合には失職することが定められています(国家公務員法76条、38条)

盗撮が職場に発覚するケースとは

盗撮行為を行い、捜査が開始された場合でも、職場に発覚することはあるのでしょうか。

盗撮行為を行い、その場で発覚して警察に連れて行かれたような場合でも、事案の内容や被害者の処罰感情などによっては、すぐに釈放されることもあります。このような場合、捜査機関が職場に連絡をすることは基本的にないと考えられます。もっとも、職場での業務に関連するような場合には、連絡をする場合もあると思われます。

それでは、逮捕された場合はどうでしょうか。

逮捕された場合でも、捜査機関が職場に連絡することは基本的にないと考えられますが、事件のことを知った家族や友人などの関係者が職場に連絡をする可能性や、逆に、職場から家族などに連絡が入り、発覚する可能性もあるでしょう。

また、逮捕されたことが報道されることにより職場に知られる場合もあるでしょう。

もっとも、逮捕当初は職場に発覚しなかった場合でも、その後、勾留されて長期間身柄拘束を受けると、長期の無断欠勤が懲戒解雇事由とされる可能性もあります。

盗撮事件の場合に、警察から勤務先に連絡がいくことは基本的にはないと思われます。もっとも、職場で盗撮を行っていた場合などは、勤務先に連絡がいく可能性はあるでしょう。なお、逮捕されて勤務先に連絡をしなければ無断欠勤となってしまい、懲戒処分を受ける可能性がありますので、弁護士を通じて勤務先に連絡をしておくべきでしょう。

懲戒処分を受けないためには

盗撮により、職場から懲戒処分を受けないようにするためにはどのような対応をすべきでしょうか。

1.身柄拘束を受けないこと

前述のとおり、身柄拘束を受け、その期間が長期に及んだ場合には、職場から解雇されてしまう可能性があります。

したがって、まずは逮捕されないように、捜査機関からの出頭要請にはしっかり応じ、証拠品の任意提出にも素直に応じるなどの対応を行うべきでしょう。

そして、身柄拘束を受けた場合には、できる限り早く釈放してもらえるように対応すべきです。具体的には、弁護士に依頼して、逮捕後の勾留請求をしないよう検察官に意見書を提出すること、裁判官の勾留決定に対して取り消すよう求める準抗告の申し立てをすること等の対応が考えられます。

身柄拘束が長期化するほど、職場に発覚し、重い懲戒処分を受ける可能性が高くなります。

2.不起訴処分を目指すこと

もし、職場に盗撮が発覚した場合でも、不起訴処分になれば重い懲戒処分がなされない可能性もあります。

事案にもよりますが、不起訴処分がなされるためには、盗撮の被害者と示談をすることが重要になると思われます。

もっとも、被害者は、盗撮の加害者に対して強い嫌悪感や恐怖感を抱いていることが通常ですから、加害者に対して連絡先を教えることはほとんどないと思われます。したがって、連絡先がわからない場合には、弁護士に依頼し、捜査機関を通じて被害者の了承を得たうえで、連絡先を確認するように対応すべきでしょう。

さいごに:更生を目指す方へ|二度と盗撮をしないために

当事務所が刑事弁護においてもっとも重視していることの一つに、被疑者(被告人)の更生があります。

犯罪を行った被疑者が、今後、二度と犯罪を行わないようにすることは、刑事弁護活動においても非常に重要であると考えています。なぜなら、被疑者が犯罪を行わなければ、新たな被害者が生まれることもなく、平和な社会を築けることになるからです。

しかし、盗撮を含む性犯罪は、再び犯罪を行う可能性が高いことが特徴だと言われています。再び盗撮を犯してしまう理由は何でしょうか。

理由1.ストレス発散

現代社会では、社会生活上、様々なストレスを受ける場合があります。職場や学校など、家庭の外だけではなく、家庭内でもストレスを受ける人は多いと言われています。
性犯罪者は、このような様々なストレスの発散として、盗撮を行う場合があるようです。そのようなケースでは、ストレスを受け続ける限り、盗撮を繰り返してしまう可能性があります。

理由2.スリルや成功体験

他人から見つからないように盗撮を行うこと自体にスリルを感じ、成功することによって、また味わいたいと思ってしまう。このような心理状態を有する性犯罪者もいるようです。

理由3.精神疾患

何度逮捕され、刑罰を受けても、また盗撮を繰り返す。そのような場合は、精神疾患である可能性もあります。様々な依存症と同様に、本人や家族など周囲の方々だけでは、立ち直ることが難しいと思われます。

再び盗撮を行わないために

それでは、再び盗撮を行わないためには、どうすればよいのでしょうか。

  • カウンセリング
    専門医や臨床心理士とカウンセリングを行い、自身の悩みを素直に打ち明ける等して、認知や思考の改善をします。また、被疑者のご家族についてもカウンセリングを受けたほうがよい場合がありますので、一度ご相談されたほうがよいでしょう。
  • 自助グループ
    自助グループでは、グループミーティングを行い、同じような境遇にある他人の話を聞き、自身の考えや経験を話すことにより、自身の誤った認識を正し、被害者の心情を理解することにつながります。
    グループミーティング以外の手法によっても認知の歪みが治せるよう、様々なプログラムが提供されます。
  • 治療
    盗撮が精神疾患によるものである場合には、専門の治療機関で治療を受けることにより、誤った認知を正し、改善する必要があります。治療機関では、薬物療法も行われる場合があります。

弁護士は、上記の治療等の行為はできません。しかし、単に刑事弁護を行うだけではなく、更生に向けた活動の手助けをすることは可能です。更生を目指す方は、早めに弁護士にご相談いただくことをおすすめします。

盗撮を行ってしまい、今後どうすべきか悩んでいる場合には、まずは弁護士にご相談ください。弁護士に対する相談については守秘義務があり、外部に盗撮の事実が漏れる心配はありませんので、安心してご相談ください。

※本記事は、公開日時点の法律や情報をもとに執筆しております。