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法律コラム

公開日:2020.08.25 最終更新日:2022.08.25

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痴漢事件とは|規制する法律、法定刑|被害者との示談|弁護士が解説

目次CONTENTS

痴漢を規制する法律:強制わいせつ罪と迷惑防止条例違反

痴漢は、一般的に、「強制わいせつ罪」に該当するものと、「迷惑防止条例違反」に該当するものに分けられます。

刑法第176条(強制わいせつ罪)
13歳以上の者に対し、暴行又は脅迫を用いてわいせつな行為をした者は、6月以上10年以下の懲役に処する。13歳未満の者に対し、わいせつな行為をした者も、同様とする。福岡県迷惑防止条例(卑猥な行為の禁止)
第六条
何人も、公共の場所又は公共の乗物において、正当な理由がないのに 、人を著しく羞恥させ、又は人に不安を覚えさせるような方法で次に掲げる 行為をしてはならない。
一 他人の身体に直接触れ、又は衣服の上から触れること。
二 前号に掲げるもののほか、卑わいな言動をすること。(罰則)
第十一条
2 第二条又は第六条から第八条までの規定のいずれかに違反した者は、六月以下の懲役又は五十万円以下の罰金に処する。

痴漢の法定刑

強制わいせつ罪の法定刑は、6月以上10年以下の懲役、福岡県迷惑防止条例違反の法定刑は、6月以下の懲役又は50万円以下の罰金ですから、強制わいせつ罪のほうが重いということになります。

もっとも、起訴を免れると、上記の刑罰を受ける可能性がなくなりますので、痴漢の加害者としては、まずは不起訴処分を目指すことになります。

痴漢で不起訴となる場合とは

痴漢で不起訴処分を受けるために最も有効な方法は、被害者と示談をすることです。被害者と示談をし、示談書を作成して、検察官に対して不起訴の意見を述べることになります。

示談をするためには、被害者の氏名や電話番号、住所などの連絡先がわからなければ、示談の話し合いをすることができません。しかし、被害者の方は、加害者に対して多大な恐怖心や嫌悪感を抱いており、「氏名や連絡先など教えたくない」というのが一般的です。したがって、警察や検察などの捜査機関に問い合わせても、連絡先を教えてくれないのが通常です。

もっとも、被害者の方も、「弁護士であれば教えてよい」という方は多いです。そのため、加害者としては、被害者の情報が不明である場合は、弁護士に依頼したほうがよいということになります。

痴漢の被害者と示談したい場合

痴漢の加害者が「被害者と示談をしたいので、被害者の名前や連絡先を知りたい」というとき、どうすればよいのでしょうか。

結論からいうと、被害者の情報がまったくなく、調べようがない場合は、警察や検察などの捜査機関から教えてもらうしかありません。もっとも、痴漢などの性犯罪の被害者は、加害者に対して氏名や連絡先などの情報を開示することはあまりないと思われます。

痴漢などの性犯罪を犯してしまい、被害者と示談の話し合いをしたいというときは、すみやかに弁護士に相談し、依頼されることをお勧めします。弁護士は、捜査機関から(被害者の了承を得たうえで)被害者の連絡先を教えてもらい、被害者の方と示談の話し合いをすることになります。

なお、性犯罪で示談の協議をするときは、示談金の支払いのほか、接触禁止などの条項を定めるのが一般的です。

また、被害者が連絡先を教えてくれたような場合でも、このような示談の協議は、一般の方が行うのはとても難しいので、弁護士に依頼されたほうがスムーズでしょう。

※本記事は、公開日時点の法律や情報をもとに執筆しております。