公開日:2017.08.25
従業員がマイカー通勤途中に事故を起こしたら – 会社の責任とリスク
桑原ブログ
マイカー通勤する従業員が、事実上マイカーを業務に利用することを、黙認していませんか?
6月27日の京都新聞の報道によりますと、滋賀県米原市で車にはねられて死亡した男子高校生(当時16歳)の両親らが、運転手の勤務先の会社に対して、1億9000万円の損害賠償を求め、大津地裁に提訴したとのことです。高校生の両親らは、運転手が会社の承認を受け、ガソリン代を支給されてマイカー通勤していたことから、運転手のみならず会社にも法的責任がある、と主張しているようです。
過失のある運転手が、死亡した高校生の被った損害について賠償責任を負うのは当然ですが、会社も使用者責任(民法715条)又は運行供用者責任(自賠法3条)として、従業員のマイカー通勤途中の交通事故について、賠償責任を負う可能性があります。
例えば、マイカーのために会社がガソリン代を支給していたとか、マイカーを従業員が業務に使用することを会社が黙認していたような場合、会社にも責任が認められやすくなります。
従業員がマイカーにつき、きちんと任意保険に加入していれば、会社に法的責任が認められても大丈夫、とお考えの会社経営者の方も多いでしょう。
しかしながら、そもそも従業員がマイカーについてきちんと任意保険に加入しているか、チェックできていない場合は危険です。任意保険に加入していない(ルーズな)従業員もいるでしょうし、保険料を削減するため、対人・対物賠償に限度額をもうけてしまっているような場合もあります。
さらには、業務上の使用頻度が高いのに、自家用・レジャー用のみで任意保険に加入している場合、業務上の事故発生の際に保険金が下りず、会社が賠償金全額を支払わざるを得ない場合もあり得るのです。
会社にとっては、従業員のマイカー通勤や業務上使用を禁止できるのであればベストですが、それが難しい場合は、会社自身がきちんと任意保険加入の有無及び内容をチェックするとともに、リスクある場合は厳格に禁止することが求められるといえるでしょう。