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COLUMN

弁護士のコラム

公開日:2019.01.25

退職代行サービスの問題点 -退職トラブルは弁護士にご相談を-

桑原ブログ

いくつかのメディアでも取り上げられましたが、退職代行サービスという民間事業者のサービスが流行っているそうです。

従業員が会社を退職したい場合、法的には、期間の定めのない労働契約であれば申出後2週間で退職できますし(民法627条)、期間の定めのある労働契約であってもやむを得ない事由があれば直ちに退職できるとされています(民法628条)

つまり、従業員が退職したいと申出すれば、法的には、直ちに(但し、やむを得ない事由が必要)又は2週間経過を待って退職できるはずなのですが、会社が退職届をすぐ受理してくれず、従業員を引き留めるなど速やかに辞めさせてもらえない実情があるようです。

日本社会は慢性的な人手不足の時代に突入しており、会社の立場からすれば、これまでせっかく育成してきた人材にあっさり辞められては困る(次の採用や育成が困難な)訳です。
他方、従業員の立場からすれば、なかなか辞められないということ自体転職の自由を奪われることであり、心労にもつながりかねません。過度の引き留めは、労働者の意に反する強制労働として、労働基準法5条違反(違法かつ犯罪行為)ともなりかねませんので、注意が必要です。

 

このように、従業員が会社との関係で、自分1人では退職手続を円滑に進められないというニーズを拾うかたちで、民間企業が退職代行サービスに目を付けた訳です。この退職代行サービス(報道等によれば、1件当たり5万円程度の費用設定のところが多い模様)、弁護士法72条違反の非弁行為(違法かつ犯罪行為)に該当する可能性が高いと考えられます。

従前も解説しましたが、非弁行為とは、他人の依頼を受け、業務として、報酬を得る目的で、法律事務を提供することを言いますが、どういうやり方であれ、民間企業の行っている退職代行サービスはこの要件を満たしそうです。業者は、「交渉する訳ではないので大丈夫」などと主張しているようですが、「交渉」ではなく、「法律事務」を行えば非弁活動に該当します。退職の連絡をするという行為が「法律事務」に該当することは明らかであり、いずれ刑事事件として摘発される可能性は高いように思います。

 

ところで我々弁護士も、退職代行サービスと同じサービスを、同様の費用設定でやっている訳ですが、一般的に弁護士費用は高いとの市民のイメージと、弁護士業界が総じてマーケティングに長けていないことから、かかる民間企業の(違法な)サービスが生まれてしまったともいえる訳で、業界として、組織として、もっと成長してニーズを拾っていかなければなりませんね。

退職代行サービス業者から、退職の連絡を受けたら、まずはご相談ください。

 

弁護士 桑原

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