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COLUMN

弁護士のコラム

公開日:2020.07.25

東京ミネルヴァ法律事務所・破産手続開始決定

桑原ブログ

弁護士によるテレビ、ラジオCMというと、皆さん何をイメージされますか。少し前であれば「過払金」、最近では「B型肝炎」でしょうか。

これら「過払金」や「B型肝炎」を主力業務としていた東京ミネルヴァ法律事務所が、令和2年6月24日、負債総額51億円で破産手続開始決定を受けました。法律事務所としては過去最大規模の倒産事件であり、業界内にも激震が走りました。

報道によりますと、倒産する会社が自ら申立てを行う自己破産ではなく、弁護士会が会費未納を理由として、債権者として破産を申し立てたとのことであり( 異例)、ミネルヴァ法律事務所に依頼をしていた多くの顧客が放置された状態になっているとのことです。さらには、元サラ金の支店長を務めたこともある人物が、影で実質的に仕切っていたなどと報道されており、実体はともかく普通の法律事務所でなかったことだけははっきりしてきています。

さて、この事務所の弁護士達が行ったことの中で、違法・不当なことがたくさんある訳ですが、依頼人からの預り金を着服していたとすれば横領( 犯罪) ですし、債権者への返済という名目で依頼人からはお金を受け取り弁護士法人の運転資金に充てていたとすれば詐欺( 犯罪) となります。

また、依頼人らとの受任関係をきちんと整理・解消することなく、弁護士法人を閉じようとしたことも問題( 民事的には委任契約の債務不履行) ですし、債務超過であるにもかかわらず漫然と解散決議を行い破産手続の申立を行わなかったことも問題です。

さらに、報道にあるとおり、弁護士法人を実施的に第三者に支配されていたのであれば、弁護士としての名義貸し・非弁活動という部分でも、弁護士法違反( 犯罪) となるでしょう。

さて、過払金ビジネスにしろ、B型肝炎ビジネスにしろ、プロフェッショナルたる先人の弁護士達が、多重債務者の救済、予防接種被害者の救済のために真剣に戦った結果として、最高裁判所や国会を動かし、より多くの人の救済へと門戸が開かれたものです。これら先人たちへの感謝の思いもなく、営業的法律事務所が大量のTVやラジオCMを駆使して依頼人を囲い込むというビジネスモデルに対し、弁護士業界ではたびたび非難の的となってきました。

今回の法律事務所の倒産報道は、改めて営業的法律事務所の負の側面が顕著に表れた事案として、記憶に刻まれることになるのでしょう。

P.S.
「営業活動、マーケティングを否定している訳ではありませんが、弁護士として、プロフェッショナルであることを捨ててはいけません。

弁護士 桑原

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