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COLUMN

弁護士のコラム

公開日:2022.07.06

忘れられる権利 TwitterとGoogleの違いとは

桑原ブログ

史上最速の梅雨明けから連日酷暑が続いておりますが、皆様、体調お変わりありませんでしょうか。先月末は、久しぶりのリアルトライアスロン大会がありましたので、いずれ閑話休題、「桑原とトライアスロン」というテーマで執筆する機会があるかもしれません。

さて2022 年6 月24 日、最高裁判所は、過去の犯罪歴に関して、記事(ツイート)の削除を求めた事件につき、ツイッター社に対して削除を認める逆転判決を言い渡しました。

2017 年1 月31 日に、別の方が同じく過去の犯罪歴に関して、グーグル社に対して記事の削除を求めた事件につき、最高裁判所は削除を認めなかったのですが、今回の判断は、ツイッター社とグーグル社とで、判断基準を変えていることが注目されます。

まず、現に行われた犯罪に関する情報は、国民の知る権利との関係からも、広く報道の自由が保証されるところです。しかし、何年も前に行われた犯罪に関する情報については、ネット社会において、何年経とうとも情報が残り続ける可能性が高くなっており、有罪判決を受けて罪を償い、社会的にも更生して、平穏に暮らしている方にとって、「忘れられる権利」なるものがあるのではないか、ということがクローズアップされるようになりました。

いずれの最高裁判決も、元犯罪者といえども、「個人のプライバシーに属する事実をみだりに公表されない利益は、法的保護の対象となる」ことを前提に、過去の犯罪に関する情報は個人のプライバシーに該当するので、人格権又は人格的利益に基づき記事の削除請求をすることを一般論として認めています。

先のグーグル社に対する判決では、当該事実を公表されない法的利益が、グーグル社が検索結果として提供する理由に関する諸事情との比較衡量において、優越することが明らかな場合にのみ、検索結果から記事を削除するよう求めることができるとしました。

しかし、今回のツイッター社に対する判決では、当該事実を公表されない法的利益が、ツイッター社が本件各ツイートを一般の閲覧に供し続ける理由との比較衡量において、優越する場合には、本件各ツイートの削除を求めることができるとしました。表現は微妙ですが、ツイッター社に対する方が、緩やかな要件で削除請求を認めていることが分かります。

グーグル社は、独自の検索アルゴリズムを用いて記事を順位付けして閲覧に供するサービスであり、グーグル社自身が当該記事自体を掲載している訳ではないのに対し、ツイッター社の場合は、当該記事をツイッター社自身が提供するサービス内で掲載している点で、上記差異が設けられています。

つまり、検索エンジンに対しては、削除請求はより厳しく、自社掲載サイトに対しては、削除請求はより緩やかに認められる訳です。

掲載サイトに対しては、被害者の削除請求が認められやすくなった訳で、裏を返せばわれわれも自組織のホームページを運営するにあたって、個人のプライバシーや個人情報の侵害をしていないか、慎重に運営をしなければらないことを意識させる判例ですね。

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