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COLUMN

弁護士のコラム

公開日:2023.04.27

ChatGPT に判決を尋ねたら

桑原ブログ

日本が優勝を果たした野球のWBC では、何度も劇的なシーンを目撃できました。どこかで負けてしまっていれば、ここまでの熱狂とはならなかったでしょうから「勝ち切る」ことの大切さを実感し、勝ち負けが存在する私たち弁護士の役割についても、改めて考えさせられました。

さて、昨年11 月にOpenAI 社のChatGPT がリリースされ、全世界でユーザー数1億人を突破したとの報道もありました。一般的な検索サイトで知りたい情報が出ない場合、こちらを利用することも標準になっていくのでしょう。とはいえ、情報の正確性やその使われ方など、様々な課題も浮き彫りになりつつあります。

例えば、ある法的論点について問題提起した上で、その判例を紹介してほしいと何件か検索をかけました。結論としては、もっともらしい解説と判決年月日、「判例時報」や「判例タイムズ」といった主要掲載情報誌の号数・頁数まで回答してくれるのですが、実際判例集で調べても、そのような年月日の同内容の判例は全くヒットしません。例えば下記のような質問をしましたが、不正解でした。

問「不当利得返還請求訴訟において、原告の弁護士費用を否定した、日本の最高裁判所の判決の年月日と、判決内容を教えてください」

解「最高裁判所が原告の弁護士費用を否定した判例としては、<平成24 年1 月24 日第二小法廷判決>があります。この判決では、原告が不当利得返還請求をした際に、弁護士費用の請求も行ったとされています。しかし、最高裁判所は「不当利得返還請求においては、原則として相手方に対して損害を与えた者が負担すべき費用とされる」として、原告の弁護士費用の請求は認められませんでした。」

解説内容はもっともらしいのですが、実際存在する判例は「平成21 年11 月9 日第二小法廷判決」ですので、年月日は不正解です。また、もっともらしく書かれていますが、その判決内容も、加害者(=被告)が負担すべきと言っているように読めるので、結論(否定)と理由付け部分(肯定)で逆のことを言っており、日本語的には意味がおかしいことが分かります。

専門性の高い情報の正確性においては、現状ネット検索に比べるべくもなさそうですが、他方で「もっともらしい回答」という点では、なめらかで論理性の高い回答が概ね実現していました。学生がレポートなどを、ChatGPT を用いて作成することが流行り出しているそうですが、こういった活動を大学がどう対処していくのかも、今後の課題となるのでしょう。

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