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COLUMN

弁護士のコラム

公開日:2023.08.28

ビッグモーターの不正請求と他山の石

桑原ブログ

猛暑の夏。連日、35度を超える最高気温報道があり、エアコンのない環境で日中過ごすことがあり得ないと感じる日々です。
海水浴や川遊びで子供達が死亡する事故報道も続いており、改めて自然の脅威を痛感させられます。
夏休み、自然の中に繰り出される方も多いでしょうが、くれぐれも油断されませぬようご留意ください。

自然の脅威に対しては対策にも限界があるものですが、人為的な課題に対してはいくらでも対処できそうにも思うのですが、長年対処して来なかった事例として、中古車販売大手のビッグモーターによる保険金の不正請求事件があります。日々悪質な手法が紹介され、関係者が撮影したとされる動画等も報道されています。保険金の不正請求だけでなく、杜撰な修理対応や車検整備の実態も、次々に明らかになってきています。ビッグモーターの過剰なノルマだとか、体育会系の強烈な社風なども、ここに来ていろいろと語られています。
こうした報道を踏まえて、そのまま漫然と悪い会社だと思うのは簡単ですが、報道は一般受けする内容のみを報道しがちであることも踏まえ、真実を見極めなければなりません。
ビッグモーターが設置した特別調査委員会が今年6月26日に作成した報告書によりますと、「ドライバーで車体を引っ搔いて傷を付ける」とか、「ゴルフボールを靴下に入れて振り回して車体を叩き、雹(ひょう)害痕の範囲を拡大させる」などの物理的な損傷の作出や、写真撮影をうまくやることで損傷が広範囲であるように誤認させるとか、不要な鈑金作業や部品交換、不要な塗装作業の実施、実際には施工していない作業を施工した前提で保険会社と協定を結ぶなど、多様な手口で被害を拡大させ、不正な保険金請求を行っていたようです。
従業員へのアンケート調査の結果も公表されており、アンケ―回答者382名中104名(27.2%)が不正作業に関与し、68名(17.8%)が他の者による不正作業への関与を見聞きしていたとのことで、組織的な関与が疑われても仕方がない結果となっていました。
調査報告書では、不適切な保険金請求が行われた原因についても分析しており、①不合理な目標値設定、②コーポレートガバナンスの機能不全とコンプライアンス意識の鈍麻(⑴内部統制体制の不備、⑵適正手続を無視した降格処分の頻発、⑶コンプライアンス意識の鈍麻)、③経営陣に盲従し、忖度する歪(いびつ)な組織風土、④現場の声を拾い上げようとする意識の欠如、⑤人材の育成不足、が大きな項目として掲げられており、①~⑤に対応する形で再発防止策の提言までされています(調査報告書は、ネット検索でも現在閲覧できるようです)。

さて、経営陣がどこまで具体的に認識していたのか、詐欺罪での刑事処罰がどこまで広がっていくのかは、これからというところですが、こうした不祥事を、うちには関係ない出来事と思うのではなく、どこか似た課題が自分たちの組織にもあるのではないかという視点で、私たち経営者は他山の石として、自らの糧としていくことも大切でしょう。

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