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COLUMN

弁護士のコラム

公開日:2024.02.27

パーティー券収入のキックバックと政治資金規正法

桑原ブログ

しばらく暖冬が続いていましたが、1月末頃から急激に冷え込んで、手先・足先から寒さを感じるようになってきました。年を重ねるほど、運動習慣を継続して筋肉量を保持し、代謝の高い状態を維持しなければならないことを痛感します。

さて、自民党の派閥である安倍派や二階派で、パーティー券収入が派閥から各議員にキックバック等されていた問題が連日報道され、国会でも論戦が繰り広げられています。改めて、政治資金規正法の概要を解説するとともに、報道ではわかりにくい「何が法的に問題なのか」について、考察したいと思います。
政治資金規正法(以下では「法」といいます)は、大きく2つの規制を政治団体に課しています。
①政治資金の収支の公開と、②政治資金の授受の規制です(法1条)。②政治資金の授受の規制については、会社等が政治団体や議員個人に対して行う寄付自体を禁止又は制限し、また寄付する場合の金額上限等などを定めるものです(法21条以下)。寄付が制限されるからこそ、金集めのために、「寄付」制限をクリアしやすいパーティー券収入が活用されてきた、訳です。
さて、もう1つの規制として、①政治資金の収支公開がありますが、その大前提として、政治団体は収支に関する正しい記載をしなければならないものとされており(法9条)、今回の一連の報道はこれに反する行為が行われていたことによるものです。
政治資金規正法では、政治団体として、いわゆる「政党」自体や、「国会議員関係政治団体(国会議員(候補者)が代表者である政治団体)」が定められていますが、政治団体として公式な届出は求められていない政策研究団体(いわゆる「派閥」など)や、特定パーティー開催団体なども、政治資金規正法上、政治団体としてみなされています(法3条,5条,18条の2等)。
今回、一連の逮捕者や起訴者が出た事件というのは、こうした「国会議員関係政治団体」や「政策研究団体」(派閥)の会計責任者や国会議員自体が、収支報告書の虚偽記載の罪で逮捕され、起訴された訳です(法24条1号)。
民間企業においても、会計帳簿は正しく記録しなければならないものとされ(会社法432条等)、収入の過少計上は法人税や所得税の脱税という犯罪にも該当します(所得税法第238 条、法人税法第159 条等)。なお、政治団体は法人税法等が課税される法人には該当しないそうですので、いわゆる脱税の罪が適用される訳ではないようです。
記載しないことが慣例となっていたので違和感を抱かなかったという国会議員もいましたが、自らが律せられるべき政治資金規正法を知らずに、立法府の国会議員として活動をしていたことを自白しているようなもので、大勢の国会議員が事実を認識しながら自ら正してこられなかったのは不思議でなりません。
私たちも、私たちを律する業法(弁護士であれば弁護士法、建設関係であれば建設業法、不動産関係であれば宅地建物取引業法等)に対する研鑽を怠ってはなりませんね。

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