公開日:2020.04.09
- 法律コラム
- 新型コロナウイルス関連
新型コロナウイルスの影響による工期や納期遅れ、支払い代金の減額要求…法的問題は?
【本記事の監修】 福岡の弁護士 弁護士法人桑原法律事務所 弁護士 桑原貴洋 (代表/福岡オフィス所長)
- 保有資格: 弁護士・MBA(経営学修士)・税理士・家族信託専門士
- 略歴: 1998年弁護士登録。福岡県弁護士会所属。
日本弁護士連合会 理事、九州弁護士会連合会 理事、佐賀県弁護士会 会長などを歴任。
目次CONTENTS
Q. 新型コロナウイルスの影響で物流が止まり、資材の供給が間に合わず、建設工事の工期が遅れています。施工会社は、完工遅れの責任をとらないといけないのでしょうか。
下請業者ですが、新型コロナウイルスの影響で部品の供給が止まり、元請業者が定める期限までに商品を納めることができません。損害賠償請求されるでしょうか。
A. 建設工事の契約の内容を確認してみる必要がありますが、新型コロナウイルスの影響である場合には、工期の遅延は「不可抗力」と判断される可能性があります。不可抗力と判断された場合には、責任を負うことはありません。
Q.運送業を営んでいます。新型コロナウイルスにより物流にも影響が出ており、配送が遅れたことで取引先に損害が出てしまいました。当社に損害賠償義務はありますか。
A. 標準貨物自動車運送約款第44条第5号では、「地震、津波、高潮、大水、暴風雨、地すべり、山崩れ等その他の天災」については免責事由となっていますので、今回の新型コロナウイルスによる影響が「その他の天災」にあたるかが問題になると思われます。
仮に、約款で免責されない場合でも、今回のように甚大な被害をもたらしている新型コロナウイルスの発生が予見できたか、運送業者が対策を講じて遅延という結果を回避することができたかが問題になります。
参考判例として、阪神淡路大震災により倉庫内の化学薬品が荷崩れにより漏出し、他の貨物から流出した水分と化合して発火した火災により貨物が焼失した事故について、倉庫会社には同大震災規模の地震の発生につき予見可能性がなく、結果回避義務違反の過失が認められないとされたもの(東京地判平成11・6.22判タ1008号288頁)があります。
Q.下請業者です。元請業者から、コロナウイルスの影響を理由に支払い代金を減額するよう要求されています。法的に問題はないのでしょうか。
A. 下請法や建設業法に反する可能性があります。
中小企業庁は、下請業者との取引について一層の配慮(① 納期遅れへの対応、② 適正なコスト負担、③ 迅速・柔軟な支払いの実施、④ 発注の取消・変更への対応)をするよう元請業者に要請をしています。元請業者からの不当な要求に対しては改善を求めることになるでしょう。
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