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法律コラム

公開日:2018.08.21 最終更新日:2022.08.25

CASE

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告訴と被害届・告発との違い|親告罪についても解説

目次CONTENTS

告訴とは

告訴とは、犯罪の被害者等が、捜査機関に対して犯罪事実を申告し、犯人の処罰を求める意思表示のことです(刑事訴訟法230条)

告訴は、書面または口頭で、検察官又は司法警察員に対して行わなければなりません(刑事訴訟法241条)。一般的には、刑事告訴は書面で行われることが多いと思われます。

親告罪においては、告訴がなければ公訴提起ができません。告訴がないにもかかわらず、公訴提起がなされた場合には、裁判所は、控訴を棄却しなければなりません(刑事訴訟法338条4号)

告訴には、告訴期間があり、原則として、犯人を知った日から6か月とされています(刑事訴訟法235条本文)

告訴と被害届・告発との違いとは

告訴と類似するものとして「被害届」がありますが、これは主として被害に遭った旨を申告するものであり、被害者が処罰を求めるものとはいいきれないため、告訴とは区別されます。

また、「告発」という手続がありますが、告発は誰でも行うことができるのに対し、告訴は告訴権者が限定されている点で異なります(刑事訴訟法230条~233条)。

被害届とは

被害届は,前述のとおり、主として被害に遭った旨を被害者が捜査機関に対して申告するものであり,被害者が処罰を求めるものとはいいきれないため,告訴とは区別されます

もっとも,被害届は,捜査が始まるきっかけになるものであり,刑事手続においては重要なものです。

被害届にも,「犯人を厳重に処罰して欲しいです」等の処罰感情を表した文言が記載されることがよくありますので,被害者の加害者に対する感情も知ることができます。

被害届の取下げとは

被害届は告訴と異なり,取り消すことができるものではありませんが,実務上は,加害者が被害者に対し,被害届の取下げを求めることはよくあります。

もっとも,被害届が取り下げられたとしても,親告罪における告訴取消のように,検察官が公訴提起できないというわけではありません。しかし,被害届の取下げは,被害者の処罰感情が減少もしくは喪失したものと評価されれば,起訴,不起訴の判断に大きな影響を及ぼします

したがって弁護人としては、被害者と示談し,被害届を取り下げてもらうことにより,検察官に対して被疑者を起訴しないよう求めていくということになります。

親告罪と告訴

犯罪によっては、被害者が処罰を求めない限り、検察官が加害者を起訴できない場合があります。このような犯罪を、「親告罪」といいます。

親告罪は、告訴がなければ公訴を提起することができません。

親告罪の例としては、以下のような犯罪があります。

  • 未成年者略取・誘拐罪、わいせつ目的・結婚目的略取・誘拐罪等
  • 名誉毀損罪・侮辱罪
  • 信書開封罪・秘密漏示罪
  • 過失傷害罪
  • 私用文書等毀棄罪・器物損壊罪・信書隠匿罪
  • 親族間の窃盗罪・不動産侵奪罪
  • 親族間の詐欺罪・恐喝罪等
  • 親族間の横領罪

親告罪における示談の重要性

前述のとおり、親告罪においては、主に被害者による告訴がない限り、検察官は公訴提起ができません。そのため、親告罪においては、早急に被害者と示談の話し合いを行い、被害者に許してもらい、告訴されないようにすることが重要です。

もっとも、親告罪の被害に遭われた被害者は、加害者に対して強い怒りを有していることも多く、加害者と話をしないという考えの方もおられます。このような場合には、早めに弁護士に依頼をすることで、告訴を未然に防ぐとともに、告訴された場合でも、告訴を取り消してもらうことで、検察官による公訴提起を防ぐことができる可能性があります。

※本記事は、公開日時点の法律や情報をもとに執筆しております。